れるられる (シリーズ ここで生きる)
れるられる (シリーズ ここで生きる) / 感想・レビュー
どんぐり
<生む・生まれる><支える・支えられる><狂う・狂わされる><絶つ・絶たれる><聞く・聞かれる><愛する・愛される>の6つの相反する言葉。後ろに“人”を付けてみるとわかりやすい。生む人と生まれる人、支える人と支えられる人、狂う人と狂わされる人…。世界を区分すると、こちら側とあちら側になる。病や事故、事件や災害によって、人は容易にあちら側へと転じていく。『セラピスト』の執筆中に双極性障害Ⅱ型の診断を受け、<狂う・狂わされる>で自分の病名を公表しているノンフィクションライターの最相さんが、その境目に立って見つ
2015/10/20
クリママ
6章からなるノンフィクション。はじめに「これは、境目についての本です。生と死、正気と狂気、強者と弱者など…」とあります。「生む・生まれる」では、出生前診断、「支える・支えられる」では、自衛隊、「狂う・狂わされる」では、精神の疾患、「絶つ・絶たれる」では、ポスドク(大学院での研究者)、「愛する・愛される」では、作家田宮虎彦について書かれている。具体的な事例は読みやすく、考えさせられる。特に全く知らなかった勉学、研究を重ねたポスドクの現状は改善されるべきだと思った。
2018/04/15
KEI
読友さんのレビューに惹かれて。ノンフィクション作家によるエッセイ集。「れる」受動「られる」能動態は相反する言葉であるが、その境目がはっきり浮かび上がる時があると言う。その境目を「生」「支」「狂」「経つ」「聞」「愛」と言う動詞で述べている。取材に基づく強い信念の文章だ。しかしそれは「られる」側に立った言葉でもある。例えば原発事故に際して、自己決定を迫る事に対しての言葉が印象的だ。【自己決定を尊重せよ、ではなく、正しくは、自己決定を保障する環境を一刻も早く取り戻せ、である】物事を見つめる事の大切さを知った本。
2018/11/03
izw
最相さんが講演会の最後にこの本を紹介され、興味をもった。「これは、境目についての本です。」と始まるが、「れるられる」とは何か。目次には「生む・生まれる」「支える・支えられる」「狂う・狂わされる」「絶つ・絶たれる」「聞く・聞かされる」「愛する・愛される」と並んでいて、能動と受動の境目、境目の向うにある想像できなかった世界を描き出している。カバーの青いバラ、やわらかい章タイトル、152ページという薄さからは想像できないくらい重い内容で、深く考えさせられる本であった。
2015/09/16
007
★★★☆☆ 受動と能動に関するエッセイ6章。私が最近気になっているキーワードが盛りだくさんでした。出生前診断(生む生まれる)、惨事ストレス(支える支えられる)、躁うつ病(狂う狂わされる)などです。冷静ながらもスパッと切り込む記述が多くあり、ハッとさせられました。
2015/03/10
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