小説家の四季
小説家の四季 / 感想・レビュー
八百
まったくなにやってんだか…真冬の葬儀に夏物のペラペラの喪服で出掛けたり手放し漕ぎの練習をして自転車ごとにひっくり返ったりと還暦前とは思えない体たらく。こんな姿を直木賞の選考委員に知られたら受賞はなかっただろうなと冷や汗もの、いや逆にあまりの情けなさに同情票が集まったか。ひとつだけ忠告しておくがせっかく晩年のヒット作鳩と月の印税で老後の生活の資金が確保出来たのだからバカな考えを起こして競輪でスっちまわないように心していただきたい。なんだかんだ言っても佐藤正午を愛して止まないファンの一人より
2018/04/29
ロマンチッカーnao
佐藤正午さんの小説を数冊読んで、この人の事をしりたくて手に取ったエッセイ。話芸ならぬ文芸のすばらしさ。グダグダとした日常の事を書いていそうで、夢中に読ませるその文芸の細かさ。小説も面白いけど、エッセイも面白い。僕が気にったのは、節電の為に作家はパソコンを使わずに、手書きにしようってとこ。そのオチもまた良かった。しかし、10数年前まで手書きだったのに、すでに手書きでは小説を書けないそうですねハトゲキでは津田が書いてましたね。実感込めて書いてたんでしょうね。そんな事を思いながら読了です。
2018/03/26
奏市
メインは2007年から2015年まで四半期毎に綴られた連作エッセイ。変わったスタイルだけど徐々にのめり込んでいき楽しめた。仄かな笑いも幾箇所かで出て気分良くなった。若い頃に年配の編集者にある語句の訂正された際当時は半分なるほど(半分そうか?)と思われたのを今となっては元の語句が間違いでなかったと実例を用いて立証されている部分が作家と編集者の関係性の一端が見えて(また著者の執念深さが見えて)面白かった。著者曰く「小説家の別名、永遠の受験生」。色んな作家さんのエッセイ読む度、小説書く大変さは想像以上と感じる。
2022/06/14
こすも
2016年刊行、佐藤正午さんの最新のエッセイです。このエッセイの中でも、自身の小説の目指すところとして「話芸」を挙げられていますが、佐藤正午さんらしい「話芸」が全編に冴え、溜め息がでます。どうしたらこんな上手な文章が書けるのだろう。天才かよ 。もし佐藤正午さんを読んだことがなく、興味が湧いたのであれば、伊坂幸太郎さんの『残り全部バケーション』や盛田隆二さんの『夜の果てまで』について、佐藤正午さんが書いた解説が収録されているので、読んでみてください。僕たちが書くレビューとは次元の異なる文に感動するはずです。
2018/03/06
aloha0307
正午さんの初読みは 鳩の撃退法 であったが、読中ずっとBob Dylan”ブルーにこんがらがって♪が背後で聴こえていた気がした。流麗な文の流れではなく、引っかかって&こんがらがって決して気が抜けないのだ(それはそれでたまらないのだが)。本書はessayであるも全く同じです。”作家さん”だけあって、句点/句読点のこだわりや、人生50年超邂逅したことがない語彙にふれその奥深さを楽しんだ。正午さん自身の”作家さん(敬意の含まれない”さん”)と呼ばれたことから生じた数十年前の一悶着は思わずじっくり読んでしまったよ
2016/04/03
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