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私たちの星で

私たちの星で

私たちの星で

作家
梨木香歩
師岡カリーマ・エルサムニー
出版社
岩波書店
発売日
2017-09-08
ISBN
9784000612173
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私たちの星で / 感想・レビュー

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ケイ

その作品は苦手なのにエッセイだとものすごく共感してしまう作家さんの代表が村上春樹さんや角田光代さん、小川洋子さん。梨木香歩さんは、その反対だなと思った。彼女のエッセイや このような往復書簡であらわされるご自身の感性に、私はあまり同調できない。きれいな言葉が並んでいるな、と思った。梨木さんは、これからは作品だけ読んでいきたい、と思う。

2019/07/26

jam

歩み寄れずにいるのは、人も国も宗教も同じだ。恋は束の間だが、憎悪は深く、己が身を焼きつくすまで消えることはない。だから、理解し合うことは、生半可なことではない。寛容とは、理不尽をも受け容れることである。燻り続ける過去の断片に囚われる人間が、それでも、永い時間をかけ心の在りようを変化させていくこと。それは、経験と智により未来を拓いていくことでもあり、諦め、慣れることでもある。凪は、他者から与えられるものではない。この星に生きる全ての人間が悲しみを湛え生きていることに思いを馳せること。それも赦しの形だと思う。

2017/12/15

ちゃちゃ

私たちが住む小さな星には、意識的無意識的にかかわらず、偏狭なナショナリズムに囚われ、紛争や齟齬が絶えない。それが如何に愚かなことか。寛容の精神を言葉で説くことはたやすい。しかし、私たちは頭で分かっていても、知らぬまにその流れの中に自己を見いだし茫然と立ち尽くすことがある。ISの脅威が続く中、イスラームへの理解を深めるべく「深い共感の水脈」を探る、お二人の姿勢のなんと真摯なことか。民族、文化や宗教の差異を超えて、互いを尊重しながら誠実に向き合う。「絶えざる関心の鍬」を持つことが相手を受容するための第一歩だ。

2017/11/05

美登利

梨木さんの小説が大好きなので借りてみましたが。往復書簡とは知らず、しかも哲学的で世界的なテーマと普段触れることのない外国の地名がたくさん出てきて、途中で読むのをやめようかと思いました。ぎこちなさが感じられた何通かの手紙のあと、段々とお二人がお互いを知るにつれ堅苦しかった話題にも変化が出はじめ、そのまま最後まで読めました。あとがきが一番良かったかもしれません(笑)何度も出てくるけれど意味が分からない言葉を調べてみようと思います。カリーマさんの文章はとても読みやすいと感じました。

2018/01/03

のぶ

非常に深い往復書簡だった。元来、イスラムについてもっと知りたい、という梨木さんの企画から始まったもののようだが、その内容はテロ問題やISの存在等、イスラムの持つ文化の垣根について書かれているのはもちろんの事、それだけに留まらず、日本という国や日本人についても浮かび上がらせることに成功している。さらに人間の死生観も踏み込んでいて、哲学的なものをも感じる部分もあった。手紙のやり取りだけでこれだけのものを作り上げた梨木果歩さん、師岡カリーマ・エルサムニーさんと、この企画を本にした出版社にも敬意を表したい。

2017/12/03

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