詩のきらめき
詩のきらめき / 感想・レビュー
踊る猫
「カラフル」な本だという印象を抱く。それでいてあまり「甘くない」というかポップすぎず「節度がある」というか「落ち着いている」のはさすがと言うべきか。どんな国のどんな時代に書かれた詩に関しても池澤夏樹は柔軟に対応する。決して「博覧強記」「碩学」ぶりをこれ見よがしに誇示したりすることはないが、しかし手堅く渋い仕事をしている。「いぶし銀」の本という印象さえ感じる。裏返せばそうした淡白さゆえに強烈な印象を残さず、記憶からすみやかに抜ける本でもあるかもしれない。だが、この実にまろやかな旨味は何度も堪能したいと思った
2023/08/09
バーベナ
詩にはなじめないと思いつつも、池澤さんが案内人ならと、つい手に取ってしまう。何度読んでもなじめない。センスの問題かしら?!でも、少しだけ共感したり、そんなアカラサマな~とか、超テキトウだわ。とか、誰も見ていないのだから自由に楽しむ。
2018/08/13
げんなり
著者の文章のさらさらとしていて理知的な感じが好きだ。若々しくもあり老練な感じもある。そして、変に近しいイメージが起きないのが良い。文学者としてはっきりと上のクラスに生まれ付いておられ、その生活の中でもさらに鍛錬していらっしゃるのが分かる。そこの所が不思議と伝わってくるのが良い。 そういうわけで鼻から勝ち負けなど考えずに、文面に出てくる書籍について購入したり読み始めてみたり、素直な学生気分になっている。詩とは何か、あるいは詩的であるということはどういうことなのか、指針の一つとしたい。
2020/08/04
裏竹秋
いい詩を知った。しかし池澤夏樹の師匠だからあちこちに丸谷才一の名が出てくる。丸谷の『恋と女の日本文学』といふ疑はしい内容のものも出てくる。『日本語で一番大事なもの』で丸谷と大野晋は堀辰雄の風立ちぬの「生きめやも」を誤訳だと言ってゐたが、誤訳ではないといふ清水徹の文章を紹介してゐた。
けいちゃん
引用「詩はなんというか夜の稲光にでもたとえるしかなくて/そのほんの一瞬ぼくは見て聞いて嗅ぐ/意識のほころびを通してその向こうにひろがる世界を」谷川俊太郎
2021/06/12
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