芥川龍之介選 英米怪異・幻想譚
芥川龍之介選 英米怪異・幻想譚 / 感想・レビュー
コットン
芥川龍之介と怪異・幻想というと合うと思ってしまう。ただ、中にはユーモラスなものもあり『張り合う幽霊』では幽霊同士の喧嘩となるが、その収めどころが面白い。知られた翻訳者が数人いるのもいい。あと、ビアズリーのイエロー・ブックが好きだったのでこの表紙となったとか、芥川の洋書の猛烈な読む速さが分かったりした編・訳者の澤西さんの『おわりに』の文もいい。
2024/05/12
鷺@みんさー
表紙はビアズリー。芥川が旧制高校の英語副本として編んだアンソロジーを、敢えて今の時代の翻訳者たちが日本語に訳す試みで、芥川の創作の素が垣間見える、ファンには嬉しい一冊かと。ワイルド、ポー、スティーブンソン、ビアス、ウェルズ、ブラックウッドとそうそうたる顔ぶれ以外にも、日本であまり知られていない作家の本邦初公開もあり、アンソロジーとして充分楽しめる他、芥川があの『不思議の国のアリス』を訳したもの(抄)、芥川自身の作『馬の脚』など、解説含めファンには必読の書。
2020/02/22
りつこ
芥川龍之介が旧制高校の生徒のために編んだ英読本を芥川研究者の澤西祐典さんと柴田元幸さんで選び翻訳し直した作品集。古風な作品が多いが、奇想短編に飽きた読者にはむしろ新鮮。オスカー・ワイルド「身勝手な巨人」、ダンセイニ卿「追い剥ぎ」、スティーヴンソン「マークハイム」、ビアス「月明かりの道」、マシューズ「張り合う幽霊」、ウェルズ「林檎」、ビアボーム「A.V.レイダー」、ブラックウッド「スランバブル孃と閉所恐怖症」、オサリヴァン「隔たり」、グッドマン「残り一周」がよかった。芥川の「馬の脚」もよかった!
2019/03/14
踊る猫
あまり前のめりになって読み進めることが出来なかった。今でもなお読むに耐え得るアクチュアルな作家を選んでいるところは流石芥川といったところだが、それでも「今」を生きる選者が編んだアンソロジーの方が数倍面白いと思ってしまうのはこちらの哀しい性/限界なのか。駄本というわけではないが、もう少し色気のあるアンソロジーの方が楽しめる。その意味では私は(解説でも指摘されているが)芥川にボルヘス的なものを感じる。ボルヘスも色気がなくて個人的にはそんなに前のめりになって読むことが出来ない作家なので……とまあ、複雑な読後感が
2019/02/07
くさてる
なんとあの芥川が選出した英米の怪異・幻想アンソロジー。というわけでどれもこれも雰囲気たっぷりで、不思議でどこか禍々しい……と思っていたらあんがいそうでもなかったりするのも楽しかった。マシューズ「張り合う幽霊」なんて、楽しくてニヤニヤしちゃった。他には、アメリカ独立戦争が残した哀しい幻を描く、ローズ「特別人員」がとても良かったです。また、芥川が訳した「不思議の国のアリス」を一部読めるのも面白かったです。
2019/04/20
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