かざる日本
かざる日本 / 感想・レビュー
六点
一読巻を置くを能わざる一書。辻惟雄先生が提唱した「かざり」の文化の系譜を日本美術・工芸の中に訪ね歩いた著者の、ところどころに顔を出すポップアートの知識が年齢を感じさせて程よく良い。また、日本美術のマチエールなども広く製法などを取材しているので、斯界に関わる知識が広まったのは言うまでもない。鼈甲が集成材ということは初めて知ったのである。
2023/04/20
アキ
日本の美とは引き算の削ぎ落とされたものだけではない。むしろ空間を埋め尽くすような足し算の飾りに心惹かれる。「組紐」道明の法隆寺幡垂飾「座敷飾り」室町時代の会所「共花神饌」石清水祭の造花「紅」伊勢半の艶紅「香木」山田香の煉香「鼈甲」玳瑁の鼈甲細工「帯」誉田屋の那智瀧図の帯「茶室」黄金の茶室の抽象性「薩摩切子」幕末の復元「変化朝顔」青一色から変化「結髪」古墳時代の美豆良「料紙装飾」嵯峨本「表装・刀剣・音・螺鈿・水引折形・ガラス・和食」まで。五感を伴う「かざり」とは「この世ならざる聖性を招き寄せること」なのか。
2022/01/14
yamahiko
美の本質に言葉で迫ろうとする意欲作だと思いました。簡潔で芳醇。
2022/05/26
ゆう
文体、比喩表現、装丁が美しい。著者曰く「『かざる日本』では版面にみっしりした凝縮感が出るよう、漢字多め、漢字も字画多めのものを意識的に使っています。そこも「かざり」ということで。文章にも「装飾」感を感じられるよう、敢えての厨二病テイストな美文調の表現を試してみました」(Twitter 2022/02/08)とのこと。 日本文化・歴史には疎いので二の足を踏んでたけど、テーマごとに章が分かれているので易しい。内容も歴史全体にやさしく触れているので地図のよう。非常に興味深かった。
2022/02/15
クサバナリスト
わび、さびだけでなく、日本人の「かざる」ことに対するその研ぎ澄まされた繊細さ、美に対する意識を彫り探ったもの。 麻里さんのいつものウイットにとんだ表現はみられなく、真摯な奥深い内容になっている。
2022/02/12
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