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力と交換様式

力と交換様式

力と交換様式

作家
柄谷行人
出版社
岩波書店
発売日
2022-10-05
ISBN
9784000615594
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力と交換様式 / 感想・レビュー

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壱萬参仟縁

E図書館。交換において、物は≪感覚的でありながら超感覚的な物に転化してしまう≫。商品の価値とは、物に付着した何かである。マルクスはフェティシュ(物神)と呼んだ(21頁)。小生は、エミール・デュルケームの社会学で初めて学んだことを想起した。マルクスがフェティシズムについて知ったのは、1842年にシャルル・ド・ブロス『フェティシュ諸神の崇拝』をよんだとき。ド・ブロスが最初に提起したフェティシュ概念。元来、アフリカの護符・呪物崇拝。言語起源は、feticoはラテン語のピジン語(27頁)。カントは世界戦争を予感。

2023/05/12

ta_chanko

交換様式から世界を観る、柄谷行人の思想の集大成。A贈与と互酬=共同体、B支配と分配=国家、C等価交換=市場。この3つが相互に作用することで、その時代がつくられる。そして時代の危機に瀕したとき、D=交換様式Xが出現する。それは人々が望んで到来するようなものではなく、強迫的に訪れるもの。Aが高次元で回帰したもの。一時的なトレンドで終わるものではなく、パラダイムシフトを引き起こすものになる。CやBが支配的な世界において、自由・平等を回復しつつ危機に対応できるシステム。新たな普遍宗教的な信仰の到来と、行動の転換か

2022/12/08

呼戯人

否応なく到来する未来としての交換様式Dは、歴史的にはイエスや釈迦、孔子やソクラテスとして現れてきた。それは、終末や徳を論じている人々である。しかし、1848年以降、資本=ネーション=国家の複合体として現れてきた交換様式A=B=Cへの対抗として、社会主義の科学である資本論以降のマルクスやエルンスト・ブロッホの登場によって、交換様式Dの姿がはっきりと現れてきた。「今後に戦争と恐慌、つまりBとCが必然的にもたらす危機が幾度も生じるだろう。しかしそれ故にこそ、Aの高次元での回復としてのDが必ず到来する」

2022/11/22

道楽モン

柄谷行人から距離を置いたのは90年代初頭。80年代の半ばに『日本近代文学の起源』を読み、その新しい評論スタイルに魅了され、一時は熱狂的な読者となった。中上健次の同志的な伴走者であり、刺激的な文芸評論家と感じた。突然の『マルクス その可能性の中心』も面白く読んだが、経済学や哲学が彼の土俵とも思えず、違和感を感じ、熱は冷めた。で、およそ30年ぶりの再会。スケールが大きくなり考察も深まり、独自の『交換』という視座による展開に感心した。資本主義の次の世界を予感させる渾身の作だが、まだ少し違和感あるなぁ。

2023/08/01

シッダ@涅槃

マルクスやその他、ホッブズ、エンゲルス、ブロッホらの議論がこの時代にこんなにビビットに響くなんて。◆柄谷さんのテーマを持った単著は『倫理21』以来約20年ぶり。『倫理21』周辺では、誤読恐れずに言えば「個々人の目覚め」にかけていたような印象がある。しかしこの本では「力(霊力)」の様々な「交換様式」にフォーカスしており、特に前者は人の企図や意志力ではどうにもならないものと捉えられている。それらの分析こそが肝要ということ。◆「揚棄」を以前「廃棄」と同じ意味で読んだことがあるが、それでも間違いなさそう……。

2022/12/09

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