安岡章太郎集〈5〉遁走 舌出し天使 海辺の光景
安岡章太郎集〈5〉遁走 舌出し天使 海辺の光景 / 感想・レビュー
タロウ
海辺の光景を一気読みした。話の筋が少しずれる嫌いがあるが、文章のわかりやすさはさることながら、比喩の使い方が素晴らしい。また、父や看護士、叔母など登場人物たちの躍動感、ニワトリを飼う家族の情景、キチガイ病院での個性ある患者だけでなくその有り様、痴呆も絡めていて現代にも通じ、人間の一生を描き出す作家の力量を感じた。自分の文章の拙さを思い知らされる。死にゆく母を前にしたとき、自分は人生についてどう考えるだろうか。母の面影が色々と浮かんでくるに違いない。それは避けることのできないもの。自分はそれを書くだろうか。
2023/05/29
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