荷風全集 第26巻
荷風全集 第26巻 / 感想・レビュー
newhavana
断腸亭日常の最終巻。前期の執筆意欲満々の時期に比較して、はたしてやる気があるのか、ただ継続のみに意味を見出しているのか、と強く疑問もわいてしまう内容。最終ページに近づくほど、記述は一日一行がひたすら繰り返されてゆく。体力・気力の減衰がダイレクトに文章に反映され、遂にその日を迎えることになる。これから自身の老いを自覚せざるを得ない私としても、身につまされる痛々しさがページから湧いてくる悲しみと慟哭の書。某日荷風は汽車をどのように乗り継いだのか、何を思ったのか私の町を訪れ駅前で一服して帰っていたのだった。
2024/06/18
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