芥川龍之介全集 第3巻
芥川龍之介全集 第3巻 / 感想・レビュー
てれまこし
自分が芥川に興味を抱いたのは自分と同類だなと思い至るところがあったから。むろん彼のような才能が自分にあるということじゃない。物書きや知識人には多い一類型としての芥川に興味がある。そして自分の予想は裏切られなかった。「或日の大石内蔵助」で描かれた芥川の作家としての自我が、本巻の「戯作三昧」で滝沢馬琴に託されて、より具体的に書かれてる。自分の書いた者を褒める人は好きだが、それしきのことを褒める人間を同時に軽蔑もする。それが矛盾なくできる。そういう厄介な性格と教養主義、そして自殺に至る絶望の関係に興味がある。
2023/11/15
よしださいめい
「戯作三昧」「首が落ちた話」「西郷隆盛」「世之助の話」 「悪魔」「蜘蛛の糸」「地獄変」「開化の殺人」「奉教人の死」「枯野抄」など、自分の好きな芥川龍之介の短篇が多く収録。ただし「袈裟と盛遠」は、いまもって、読み込めず。 また、「信濃の上河内」「私の好きな夏の料理」「私の好きな夏の女姿」「虚子庵小集」「鈴木君の小説」「私の嫌ひな女」など、多くの随筆も面白い。
2020/07/12
鯉二郎
本書には、大正6年から7年頃の比較的よく知られた作品から、詩、手紙文、短評、身辺雑記などが収録されている。まさに断簡零墨に至るまで集めた趣があり、巻全体の感想を書くのは難しい。「地獄変」や「蜘蛛の糸」などは文庫で読んだことがあるが、全集で再び読んでみるのもいい。芥川は、小説は「書きたいから書く」のであって、原稿料のためでも読者のためでもないと述べる。頭の中に着想が浮かび、それがはっきりした形をとることを要求すると書き始めるという。天才作家の創作過程は、凡人の私には夢のような話だ。
2020/05/05
Sherlock Holmis
印象深かったのは「首が落ちた話」「西郷隆盛」。「地獄変」における堀川の大殿の存在意義についても考える。
2014/06/12
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