芥川龍之介全集 第7巻
芥川龍之介全集 第7巻 / 感想・レビュー
てれまこし
1920年9月~1921年6月。この頃はポーからの影響か、ドッペルゲンガーとか夢を介したテレパシーとかいう超自然現象を扱う怪奇小説への傾倒が見られる。しかし「秋」のような身辺小説を自分のいちばん好きな作品に挙げてるところを見ると、ただ美しい(楽しいとのちがいは?)現実逃避のための作り話を書いてるだけという批判は、本人も感じていたらしい。「奇遇」では自分の怪奇趣味から距離を置こうとする理性により、せっかくの書いたものを台無しにする自分を戯画化してる場面がある。苦労ばかり多くて失敗作が多いのもこの理性のせい。
2024/05/24
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