芥川龍之介全集 第10巻
芥川龍之介全集 第10巻 / 感想・レビュー
にゃおんある
二人小町。思わずクスクスせずにはいられない、戯曲的と言おうかアニメ的と言おうか、なんともゆかしい黄泉の使い。たまたまテレビを見ていたら男性のY遺伝子は生命の多様性を求めた結果の担保にすぎない、というのも頷けるお話でした。こんなお話も書けるという多様性の中で二人の小町の駆け引きの狭間に立たされる黄泉の使いの凡庸さがうける、うける、面白く、面黒いうさぎの耳のかわいいお話でした。
2017/11/03
てれまこし
1923年3月~1924年3月。この頃になると、高等遊民などという幻想はもうないが、文士も市場の拡大によって飯は食えるくらいになってる。売文商売も板についてきてる。その分、マンネリも目立つようになる。目新しいところでは方言を会話に取り入れた写実的な農民小説「一塊の土」がある。芸術至上主義とは距離を置くようになっているけど、身辺小説への抵抗は残ってる。震災が文芸に与える影響に関してもどこか傍観者的。朝鮮人放火説を嘘だときっぱり否定する菊池寛に対して芥川はこれを弄んでる。被災者や朝鮮人の共感に入っていかない。
2024/10/25
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