志賀直哉全集 〈第2巻〉 大津順吉 范の犯罪
志賀直哉全集 〈第2巻〉 大津順吉 范の犯罪 / 感想・レビュー
カブトムシ
「大津順吉」…明治45年「中央公論」9月号に発表。志賀は『大津順吉』『或る男、其姉の死』『和解』は材料の点から云って一つ木から生えた三つの枝のようなものであるという。内村鑑三の影響下に生ぬるいキリスト教徒であった順吉。新潮文庫はこの一連の3作を収録していたが、『和解』のみが、評判がよくて志賀の意向で後の2作は、収録しなくなった。従って、『和解』のみでは、父との不和の原因が分からないわけである。この『大津順吉』を読んで尾崎一雄は志賀の門下生になった。志賀は長生きしたので、尾崎や阿川弘之との肉声が残っている。
カブトムシ
「范の犯罪」…初期の短編です。朗読テープもあります。ちなみに、教科書に載った志賀直哉の作品は『子供四題』の一つ「かくれんぼ」「城の崎にて」「濠端の住まい」「暗夜行路」の一節、中国の教科書の中国語訳「清兵衛と瓢箪」などです。私は、中国で日本語教師をしていました。その時に范という名前の学生に「范の犯罪」を教えたことがありました。范という名前は、中国では珍しい名前とのこと。それを中国人の日本語教師に話すと、「それは、南の方の名前です」とのこと。「清兵衛と瓢箪」の載った中国語の教科書を范君が取り寄せてくれました。
マカロニ マカロン
個人の感想です:B+。『范の犯罪』を読むために借りた。范という若い中国人の奇術師がナイフ投げの演芸中に妻の頸動脈を投げたナイフで切断した事件が起きた。范は最近、妻が従兄の子を産み、その子を過失死させてしまったことを知った。そのことが范の手元を狂わせたものと推定されるが、果たして范の行為は故意なのか過失なのか、有罪か無罪か?わずか17頁の記述で判断するのは難しいものがあるが、私は裁判長と同意見だ。このほか、『児を盗む話』は本当に5歳の女の子を誘拐したことがあるのではないか?と思うような精緻な筆致で驚嘆した。
2018/09/11
ひこちん
和解、大津順吉と過去、山科の記憶ほか連作短編、転生、雨蛙、雪の日、雪の遠足、焚火、濠端の住まい、など読んだ。阿川の志賀直哉を読んでいるので弟子の七光りで志賀の本を読んだ。
2016/11/03
マユコ
志賀直哉の范の犯罪、すきそうって言われたから図書館で探したけどみつからなくて、カウンターのひとに探してもらった。わかりづらいところにおいてあった。全集だから厚いし重いし、文も教科書みたいに読みやすくはなってないわけだけど、、「城の崎にて」同様深い内容だった。判決結果はわたしの期待に副ってくれた。なのに最後の一文がもやもやした。もやもや。
2012/01/26
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