志賀直哉全集 〈第3巻〉 城の崎にて 和解
志賀直哉全集 〈第3巻〉 城の崎にて 和解 / 感想・レビュー
カブトムシ
「和解」は、志賀直哉の中編小説です。父と和解したことがきっかけで、一気に書いたものです。友人の武者小路実篤が志賀の家に来ていて、一読してもらい、編集者に送ったものです。志賀の赤ん坊の死と新しい赤ん坊の誕生を見事に表現しています。「城の崎にて」は、山手線の電車にはねられて、脊椎カリエスの恐れがあった志賀の城崎温泉での心境を綴った名作です。私は高校の国語の教科書で習いました。今は、教科書に載っているのか知りません。今は、太宰治の「走れメロス」が載ってない教科書は、国語の先生方が採用してくれないと聞いています。
ミカド
なんと言っても「和解」が入っているという段階で読む大いにあるのですが、文庫で読んだ方が早いですね。「赤西蠣太」なんかは志賀直哉の作品の中では異色作でよくできています。余計なことは書かないというのが晩年に至るまで貫かれた著者のポリシーですが、この作でもそれは徹底されており、そのため一読すると意味が分からないかもしれないです。
2012/05/01
ひかる
真菰=イネ科の多年草 鳰鳥=カイツブリ科の水鳥でカイツブリの異名
2015/12/23
さめたごはん
話は余り好みではなく中編以上の物は冗長に感じるが、言葉の扱い方がいちいち優れている。使う単語は平易であるためパッと見は普通の文章にしか見えないのだが、組み合わせ方が豊かな発想かつ説得力を持つものなので素晴らしい。例えば、縮こまっている事を表すのに「できるだけ小さくなって」という表現があるが、ここで「できるだけ」という修飾を選ぶことは中々常人の感性ではできない事のように思う。そこに浮かぶ素朴さや一生懸命さ、哀愁の表現。単語として自然で言われてみればこれしかないと思えるほど適切だが、言われなければ分からない。
2014/08/02
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