第1巻 舞姫 ヰタ・セクスアリス ほか (鴎外近代小説集)
第1巻 舞姫 ヰタ・セクスアリス ほか (鴎外近代小説集) / 感想・レビュー
syota
図書館で開かれる森鷗外に関する文学講座を受講するため、雅文体で書かれた欧州三部作と、鷗外初の口語体小説『半日』を読んだ。『舞姫』は何度読んでも引き込まれる。やはり名作と思う。今回は、今まで読み飛ばしていた冒頭部での豊太郎の煩悶の激しさに、やっと気づいた。『うたかたの記』は三部作中最も評価が高いらしいが、個人的には二人の偶然の再会や国王との邂逅など、プロットの不自然さがどうしても気になった。かえって『文づかひ』の方が、自立しようとする女性を描いて新鮮に感じる。
2018/08/27
ウイロウ
原則として新字旧仮名。注は全て見開きに施してある。特に『水沫集』の三篇を読む際に助かった。とはいえこれら初期三部作も擬古文ながら決して晦渋ではなく、ロマンティシズムに彩られた物語がむしろ清新。他方「半日」「魔睡」などは私生活を暴露するスキャンダラスな要素を含み、物見高い読者(私だ)の興味を惹きつける。「ヰタ・セクスアリス」は有名なタイトルから予想されるほど衝撃的な内容ではない。この物足りなさは恐らく、鷗外の性に対する淡泊さに起因するだろう。が、作家がこういう小説を書こうと思い立った理由はよく解る気がする。
2016/05/19
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