第4巻 青年 (鴎外近代小説集)
第4巻 青年 (鴎外近代小説集) / 感想・レビュー
ウイロウ
ワナビ青年・小泉純一のもてっぷりが羨ましい、妬ましい。劇場で言葉を交わしただけの美しき未亡人に自宅へ招かれるわ、あっさり関係を結ぶわ、近所のお嬢さまに秋波を送られるわ、ナンバーワン芸者から密かに名刺を渡されるわ……。このまま大団円まで突き進んでいたら許せんところだったが、あのラストであればまあ納得。そしてこの小説は実によく〝動く〟。徒歩で、人力車で、鉄道で、団子坂へ、浅草へ、大宮公園へ、最後は箱根湯本へ。いちいち注釈が多いから、余計にそう感じるのか。登場人物とともに現代の私たちも百年前のTOKIOに遊ぶ。
2016/05/26
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