道草 (定本 漱石全集 第10巻)
道草 (定本 漱石全集 第10巻) / 感想・レビュー
ぐうぐう
自伝的要素の強い作品と言われている『道草』。漱石には、自身の体験をモデルとした小説がいくつもあるが、『道草』はその手のタイプとはかなり趣きが違う。体験をあくまでモデルとして物語にするのではなく、『道草』は過去の自分を見つめ直し描くことこそを目的としている。ゆえに、漱石の年譜上に起こった出来事がそのまま『道草』でも起こるのだ。妻との関係が冷え切っている主人公・健三は、縁を切ったはずの義父から生活費を要求される。姉や兄、妻の父との関係もギクシャクとしている。(つづく)
2018/03/18
かずみ@スマホ
全編金の貸し借り、親戚のしがらみ、夫婦間のいさかいなどで読んでてげんなりした。健三はツンデレこじらせ過ぎだろ。
2021/08/22
鯉二郎
道草を読むのは文庫本で読んで以来、2回目。新しい注解はとても詳しく、深読みすることができた。漱石の分身のような健三には、養父母をはじめ、何かと口実をつけて金を借りようとする人が寄ってくる。奥さんとも機嫌が悪いと口も聞かない。年が年中ストレスをかかえた学者の煩悶。読んで明るくなれる箇所はほぼないと言っていい。時代が変わっても、人間が生きていくには避けて通れないものが死ぬまで連続するなとしみじみ感じさせる。
2018/03/18
感想・レビューをもっと見る