明暗 (定本 漱石全集 第11巻)
明暗 (定本 漱石全集 第11巻) / 感想・レビュー
ぐうぐう
全集で再読する『明暗』。人間のエゴを描いたとよく称される『明暗』だが、決しておどろおどろしいわけではなく、どこかで見聞きした、ひょっとしたら経験のある感情や、思い当たる思考が描かれていて、それがそのまま明治人への親しみへと繋がっている。それはつまり、漱石の小説全般に当てはまることだ。違和感も含めて、結果的に私達は、漱石の小説を読むことで明治人を近くに感じることになる。彼らは生真面目で、ゆえに厄介ごとを抱えており、葛藤する。いわく付きの人物達の考察に影響されつつ、価値観が揺らぎ、時には反転もする。(つづく)
2017/10/26
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