文学論 (定本 漱石全集 第14巻)
文学論 (定本 漱石全集 第14巻) / 感想・レビュー
てれまこし
文学とは何か。何の役に立つのか。論文を書こうという学生が一番やってはいけないのはこういう大きすぎる問いに答えようとすること。だが留学時代に漱石はまさにそれをやろうとした。で、やっぱりあまり面白くないのができた。当り前だがいかにも大学の講義調で、弟子に代筆させた前半はかなり退屈。漱石が書き下ろした第四編以降にようやく調子が上がっていく。だが、この作業が漱石の思想に「深み」を与えた。というのは、英文学という枠を越えて、哲学から社会学や心理学に移っていく世紀末の思想的潮流を漱石は吸収し、日本に伝えることになった
2022/07/30
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