九月姫とウグイス (岩波の子どもの本)
九月姫とウグイス (岩波の子どもの本) / 感想・レビュー
Hideto-S@仮想書店 月舟書房
シャム(いまのタイ)王国の心優しい9番目の姫君と、意地悪な8人の姉たち。サマセット・モームが一篇だけ遺した童話。飼っていたオウムが死んでしまって涙に暮れるお姫様を慰めるように森から飛んできたウグイス。美しい歌声に癒されるほどに、森へ帰ってしまうのが不安になる。でもウグイスは鳥かごの中では歌えない。歌えなければ死んでしまう……。大切な者の幸せを考える優しさと勇気。縛るのではなく、窓を開けておく。そうすれば窓に射し込む光が心を輝かせてくれるはず。1954年初版。クラシカルでエキゾチックな絵も素適な絵本。
2016/04/17
KAZOO
お気に入りさんの感想を読んで、図書館から借りてきました。1950年代にサマセット・モームの童話が訳されていたのですね。まさか、と思いましたが読んでみて楽しめました。シャムに生まれた9番目のお姫様がオームを買っていたのですが死んでしまい、その代わりにウグイスが飛んできて、というおとぎ話です。ほかにモームの童話はないのですかね。
2022/10/09
masa@レビューお休み中
サマセット・モームで知っていることといえば、タイのザ・オリエンタル・バンコクのスイートルームに長期滞在していたことと『月と六ペンス』の作者ということだけだ。それ以外、何も知らない。それにも関わらず、最初に手にした作品が、児童文学の『九月姫とウグイス』で良かったのだろうかと思案してしまった。九月姫とウグイスは出会ってしまいます。心の友、心の拠り所として関係性を築いていきます。でも、互いの想いの量がずれてしまうと…それまでの均衡が崩れてしまうのです。どうあるべきかは、自分たちが決めるということなのでしょうね。
2014/02/13
ケイ
絵がとてもふんわりとして、使われている色もとてもきれいな絵本。舞台はシャム。東南アジアや太平洋の島々を舞台にした話が多いモーム。ここでも、欧州とは違ったシャムの、異国情緒か憧憬のようなものを感じる。閉じ込めて囲うのでなく、相手を尊重して信頼することは難しい。ウグイスとお姫様のステキな関係は、優しくていいなあ。
2015/02/25
mint☆
サマセットモーム唯一の児童書だというこの絵本。シャム(今のタイ)の王様には二人の娘がいて名前を昼と夜と名付けた。さらに娘が生まれて全ての名前を変える。さらに生まれて、さらに生まれてその度に名前を変えられ九月姫を除いて姫たちはひねくれた性格になってしまう。九月姫の元にやってきたウグイスを鳥籠に閉じ込めるのか自由にするのか。「自分の幸せよりも、自分の好きな人の幸せを第一に考えるのはとても難しいこと」児童書なのに考えさせられます。ツッコミどころは多いですが。
2024/07/09
感想・レビューをもっと見る