はだかのサイ (大型絵本)
はだかのサイ (大型絵本) / 感想・レビュー
遠い日
岩波の版で読む。疑り深いサイのノルベルト。自分の身体を鎧で被い、誰も信じず、自分の横暴をむりやり通す。動物たちはサイの恐ろしさに耐えきれず、草原を出てゆく。誰もいない草原で一人、権力者、支配者としての地位に満足し、自己肯定と自己欺瞞の狭間で揺れる日々。支配者としての偶像は自らが微動だにせぬ銅像として立つ。そこから降りれば、自己否定と権力への反逆と見なされる、そのアンビバレンツな存在の皮肉。エンデの権力に取り憑かれた者への強烈な批判を感じる。ラストのページが意味深長だ。
2013/05/27
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