オフェリアと影の一座 (大型絵本)
オフェリアと影の一座 (大型絵本) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
文はミヒャエル・エンデ、絵はフリードリヒ・ヘッヘルマン。全体として、文と絵の比率はフィフティ・フィフティ。登場人物は老嬢オフェリアと影たち。まずはプロンプターのオフェリアが主人公というところがいい。ここで影が表象するものは、私たちの内なる世界だろう。そして、その「影の一座」から「光の一座」への転換が、また感動的だ。もっとも、その世界観はきわめてキリスト教的ではある。それが向かう先は、永遠の世界への希求である。私たちの生は影よりもはかないのであるから。
2024/01/04
KAZOO
これはどちらかというと子供向けというよりも、若い人向きのはなしなのでしょう。持ち主のいない影たちを引き取ったおばあさんと影たちの話で、最後はほろりとさせてくれます。黄色や緑がかった青い色などが非常に話にあっている感じの絵でした。またおばあさんの顔がよかったですね。
2017/01/04
Hideto-S@仮想書店 月舟書房
「女優になってほしい」と両親の過大な期待を背負ったオフェリアは女優にはなれず、小さな劇場で働くおばあさんになりました。劇場が閉鎖され仕事を失った彼女のもとに、主人と逸れてしまった影が集まりました。彼女は貧乏でしたが、影は食べ物も衣服もいらないので身寄りがない同士で暮らすことにしました。やがて、影たちは素晴らしい才能を発揮し始めました。どんな姿にも変身できるのです。彼女は劇団を立ち上げ、旅から旅の人生が幕を開けたのですが……。ひっそりと生きてきた女性の生涯。彼女の人生の黄昏にやさしい光を当てたファンタジー。
2015/11/23
masa@レビューお休み中
ミヒャエル・エンデの作品をようやく読むことができました。子どもの頃は、まったく読もうとせず、大人になってからも抵抗していて、ようやく絵本だけど読むことができました。これは、大人が読むとしても深いし、考えさせられますね。エンデのファンに大人が多いのも納得してしまいました。主人公のおばあさんに共感したり、しがない現実に頷いたり、けれどもどこかに希望があって、夢のような世界があると期待したり…。影が悪いわけではなく、光がすべてなわけでもない。だからこそ、影を抱える役割の人も必要なんですよね。
2015/12/27
紫 綺
オフェリアおばあさんの下に集う、持ち主を持たない影たち。世にも不思議な劇団の誕生だ。やさしいオフェリアは、死の影までも受け入れてしまい…でも大きな光に包まれていく。感動的な大人向け絵本。
2018/03/18
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