ドリトル先生と緑のカナリア (岩波少年文庫 32)
ドリトル先生と緑のカナリア (岩波少年文庫 32) / 感想・レビュー
NAO
カナリア・オペラのプリマドンナである緑色のピピネラがドリトル先生に出会うまでの冒険物語。ちょっと驚かされたのは、ドリトル先生の話が、子ども向けに面白いことだけを書いたのではないということだ。ピピネラは、侯爵家で労働争議を目の当たりにしており、工場の機械化、労働者たちの苦しい生活、ストライキ、軍事介入などが、簡単にではあるが描かれている。ピピネラが誰より愛した「窓ふき屋」も、実はとんでもない経歴の持ち主で、彼自身も数奇な体験をする。そういった当時の社会問題も書き込んでいるところに、作者の人柄が感じられる。
2021/03/14
扉のこちら側
2016年737冊め。第一次大戦中、戦地から子どもへ当てた手紙の中で始まったこのシリーズ。この巻の完成まであとわずかのところでロフティングは死去しており、妻の妹がその後を継いで物語は完結した。「ドリトル先生のキャラバン」でオペラを歌うカナリアとして登場したピピネラの、ドリトル先生に出会うまでの流転の物語は、人間の女性にもありそうな波乱万丈物語。
2016/09/19
kaizen@名古屋de朝活読書会
ロフティングの亡くなった後、妻の妹のオルガが遺稿を整理した作品。厳密には著作者は二人。 ドリトル先生のキャラバンで活躍した緑のカナリアのおいたち物語。 行方不明の原稿を求めてというくだりも素敵。
2013/04/24
たつや
冒頭の「おことわり」で、突然作者の夫人が登場したのでアレ?と思ったら、どうやら作者が亡くなったと察しがつく。でも、どうして、こんなに、このカナリアに入れ込んだのか、腑に落ちない。多分、ネタが尽きて苦し紛れかな?と勝手に想像する。
2017/03/21
ロビン
12巻目の今作は、ロフティングが途中まで書いた原稿を義妹のオルガが引き継いで書かれたもので、『キャラバン』で活躍した「カナリア・オペラ」のプリマドンナ・ピピネラにまつわる物語。悲しい結末のロマンスやテナーのツィンクの登場など『キャラバン』で語られたピピネラの生い立ちと重複するところはあるが、一部は短く、一部は膨らませまた新しいエピソードを書き加えてある。今作は機械打ちこわし運動や労働問題、公害問題、戦争など社会問題を盛り込んだ場面が描かれており、ロフティングがそれらに強い関心を持っていた事がうかがわれた。
2019/08/13
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