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西風のくれた鍵 (岩波少年文庫 79)

西風のくれた鍵 (岩波少年文庫 79)

西風のくれた鍵 (岩波少年文庫 79)

作家
アリソン・アトリー
アイリーン・ホーキンズ
Alison Uttley
石井桃子
中川李枝子
出版社
岩波書店
発売日
2001-02-16
ISBN
9784001140798
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西風のくれた鍵 (岩波少年文庫 79) / 感想・レビュー

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Willie the Wildcat

心底に持つ掛け替えの無いモノ。家族、親子、次世代など他者への思い。他者の笑顔が念頭の『鋳かけ屋の宝もの』と『幻のスパイス売り』は、笑顔に溢れる。一方、同じ他者の笑顔でも、『雪むすめ』と『妖精の花嫁ポリー』は、喪失を踏まえた他者への思いと対照的。『ピクシーのスカーフ』と表題作は、他者への感謝とも解釈できるかな。敢えて挙げるなら『鋳かけ屋の宝もの』のストレートさが、最も自分の波長が合いますね。

2017/12/18

シュシュ

再読。前に読んだときよりも、ぐっと惹きつけられた。ピクシー(小人)や魔法の世界だが、私が子どもだったら、もしかするとこんなことが起こるかもしれないと思えそうな話だった。森の近くの農場育ちのアトリーだからこそ、こういう物語を作れるのだと思う。隅々まで満足した。特に好きなのは、聞き耳ずきんのような『ピクシーのスカーフ』、『幻のスパイス売り』、『西風のくれた鍵』

2019/02/01

棕櫚木庵

『時の娘』に描かれた英国田園風景が良かったので借りてみた.こちらは,妖精などが登場する6篇の fairy tales だった.荒々しい出来事や人物が登場しないわけではないが,全体の印象は穏かで静謐.たとえば,「むかしむかしのローマ人の家とおなじように,花畑があり,ミツバチの巣があり,バラが咲く家で」おもちゃを作りながら暮らす鋳かけ屋(pp.84--85).登場人物たちは幸福な結末を迎えるけど,読者には一抹の寂しさも残る・・・というものが多かった.たとえば「雪むすめ」.限りある命を生きる者の寂しさだろうか.

2023/07/04

おおた

アリソン・アトリーはどこか悲しい。単純なおとぎ話、子ども向けの物語にはとどまらない、喪失の通奏低音が鳴り続けている。特に時間を失ったことの悲しみが描かれることが多い。「雪むすめ」「妖精の花嫁ポリー」など浦島太郎的に別の場所で過ごした時間と人間の時間が異なるせいで、過去の喜びを永久になくしてしまう物語には、なんとなく夫を亡くした作者の姿を重ね合わせて見てしまう。本書のタイトルだけでも想像力をかきたてられる、すてきな一冊。

2016/05/23

ヴェルナーの日記

アトリーの作品群には、大別すると2つあって「時の旅人」のような思春期の少年少女を対象としたものと、「グレイ・ラビット」シリーズのように幼い子供を対象にした作品がある。本作は後者に当たり、『西風のくれた鍵』を始め6作品が収納されている。どの作品も俊逸で人間と妖精が交錯した不思議な世界を描いている。著者のアトリーが活躍した19世紀のイギリスは、この時代第2期の児童文学黄金期を向かえていて、彼女もその中で活躍した一人である。

2011/12/09

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