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飛ぶ教室 (岩波少年文庫 141)

飛ぶ教室 (岩波少年文庫 141)

飛ぶ教室 (岩波少年文庫 141)

作家
エーリヒ・ケストナー
ヴァルター・トリアー
Erich K¨astner
池田香代子
出版社
岩波書店
発売日
2006-10-17
ISBN
9784001141412
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飛ぶ教室 (岩波少年文庫 141) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

この年齢になって初めて『飛ぶ教室』を読んだ。少年時にケストナー体験がなかったのである。その頃に読んでいれば、ギムナジウムに強い憧れを持っていただろうと思う。この物語は二つの世代を扱っている。すなわち、今の5年生のジョニーやマルティンたちと、かつてはここの生徒であったベク先生や禁煙さんたちの時代である。そして、物語はいとも易易とそうした世代を超えてゆく。ギムナジウムには懐旧と未来への希望とが共存しているのである。誰にとっても、キルヒベルクのギムナジウムはそんな永遠の場所である。

2024/10/07

のっち♬

クリスマス前の寄宿学校の少年たち。表題を冠した学芸会劇に重心はあまりなく、前半は仲間を誘拐した対立校との抗争・決闘や負傷事故が繰り広げられ、仲間意識の強さを物語る合言葉が飛び交う腕白な世界観。主役たちのみならず、気取り屋な先輩、殊勝な心構えの敵校リーダー、著者を投影した先生たちに至るまで一人一人の精彩が鮮やか。執筆時期はナチが政権を握った直後。目前で行われる焚書や平和の責任の所存を問う台詞に込められた象徴性、規則で縛りつけない自由な気風や大らかなヒューマニズムに込められた祈りはメタ構造により切実さが増す。

2024/01/25

ちゃちゃ

自信がないのにむやみに誇り高く意地を張ったり。自分や仲間を貶められたら見境いなく義憤にかられたり。信頼する大人への尊敬の念に胸を熱くしたり。自らの弱さや哀しみを独り抱えて苦しんだり…。あぁ、顧みるとなんと切なく煌めきに満ちたあの頃。本作を読むと、思春期にある少年たちの瑞々しい感性に揺さぶられて心がじわりと熱くなる。クリスマスを目前に控えたドイツの寄宿学校で、少年たちはかけがえのない日々を経て成長してゆく。これはケストナーが私たち大人に、あの頃を忘れないようにと贈るクリスマスプレゼントなのかもしれない。

2021/12/23

(C17H26O4)

昨年の12月は青い鳥文庫と新潮文庫でこのお話を読んだので、今年はこちらの岩波少年文庫を。この池田香代子さんの訳、少年たちがとってもいきいきとして感じられていちばん好きだなあ。導入部にも自然に入っていけました。「あったりまえ!」っていう合言葉もとても微笑ましい。いつもおなかがすいているマティアスがやっぱりかわいいな。自分で言った「罰をくらったもんだ」の「くらった」という言葉でまたおなかすいちゃうんだもの。

2019/12/13

ずっきん

クリスマスに読むつもりは特になかった。「おっと、積んでるの忘れてた」と、まえがきをパラリとしたら、ついつい読んじゃっただけだ。薄いしね。第一、青臭い中坊どもの話なんて、それほど興味も無い。ほうら、案の定、展開がミエミエのベタベタじゃないか。……だが、なぜわたしは、湿ったティッシュを握りしめてるんだろう。そして、なぜ、鼻歌(クリスマス・ソング)を歌いながらレビューを書いてるんだろう。わかってる。本当はわかってるよ。ああ、あったりまえ!だよ。ケストナー、ありがとう。メリークリスマス。

2020/12/25

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