科学と科学者のはなし: 寺田寅彦エッセイ集 (岩波少年文庫 510)
科学と科学者のはなし: 寺田寅彦エッセイ集 (岩波少年文庫 510) / 感想・レビュー
たつや
いま、密かに岩波少年文庫の読書祭りをひとり寂しく開催中に偶然見つけた本書は当たりでした。作者は物理学の田丸卓郎と夏目漱石に影響を受け、文章の書ける科学者的存在だったようですが、この本を読むまで、名前すら知りませんでした。「電車の混雑について」から「昼顔」など、テーマは、はばひろく「こわいものの征服」と「津波と人間」は、数年前の震災を予言したようで鳥肌が立った。そして、解説で「我輩は猫である」の寒月のモデルが本作の寺田さんと知り、「夏目漱石先生の追憶」を読み直す。
2016/11/30
ひよピパパ
物理学者にして夏目漱石と交友があった寺田寅彦の随筆集。池田了の編。外山滋比古が某かの書で絶賛しているだけある。物事を科学的見地で捉え豊かな表現で綴る寺田の随筆はどれも味わい深い。「藤の実」「蓑虫」「草をのぞく」等の諸編は植物や生きものを物理学の視点から捉えたものでユニーク。「津波と人間」は、東日本大震災の起こる遙か前に、まるで予期していたかのような指摘でグサッと胸に刺さった。「科学者とあたま」は、頭の悪い自分へのエールに聞こえた。「夏目漱石先生の追憶」は、心あたたまる師弟の交流が眼前に浮かぶかのよう。
2020/04/23
たかしくん。
いつかは読み通したいと、かねがね思っていた寺田寅彦の作品。物理学者にして、夏目漱石も認める文筆家。派手さはないけど、明治時代の骨太なかた。「電車の混雑について」「線香花火」は、特にそれを象徴する作品かな?と、勝手ながら解釈してます。「津波と人間」・・この内容、直近の三陸海岸とほぼオーバーラップしてます、いやいや、既視感というべきか?
2021/07/19
jjm
「蜂」ハニカムは外周一定で面積最大、自然の不思議「解かれた象」動物園で同じ場所を行ったり来たりしているライオンを思い出した。ストレスフル。戦争は正義ともう1つの正義の戦い「金曜日」何かが金曜に連続すると不思議に感じるが、水木金でも実は同じ「身長と寿命」時間の相対性。時間は人体の周期を基準であり、羽虫の寿命が短いわけではないかもしれない「津波と人間」人間はすぐ忘れるもの、準備もどこまですればいいものか「涼味数題」日本人の感じる「涼しい」という感覚は実は独自のものかも。風鈴。なるほど
2022/02/06
おはなし会 芽ぶっく
著者は明治から昭和に生きた物理学者であり、文学者。波・ミノムシ・花火などを観察した随筆集。特に金平糖のはなしは興味深かった。金平糖の角の数はなぜ一定なのか?ただ美味しい、といか思ってない私には、深く考えるということが羨ましく思える。
2021/08/14
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