ベルリン1933 壁を背にして (下) (岩波少年文庫)
ベルリン1933 壁を背にして (下) (岩波少年文庫) / 感想・レビュー
しゃん
「壁を背にして」という副題のとおり、ゲープハルト一家は背水の陣の状況が続く。その厳しい状況の中だからこそ、主人公ハンスとその兄ヘレとの信頼関係には心打つものがあった。本書は、ゲープハルト一家の目を通して、1933年のベルリンを描いており、それだけにナチスの横暴ぶりが恐怖感ととも迫ってくる。ヒトラー政権の怖さは、それが正当な選挙を通じて権力を握ったことにある。ナチスの暴力が正義となり、法律が彼らに不都合なものを排除していく。それ以上に怖かったのは、ナチスの権力を笠に着てやりたい放題の者たち。次1945年へ。
2020/09/27
ケイトKATE
(上巻からの続き)それにしても、本書で書かれているドイツ社会は決して昔の出来事とは思えなかった。不安定な社会において何もできない政治家、権力を奪うために都合のいい言葉を並べ立て敵対する勢力を罵倒し衝突している状況は、今日の世界でも変わらないと思った。本書は暴力描写がたくさん登場し、読んでいると心が痛くなるが、多くの人に読んでほしい。いよいよヒトラーによってドイツは破滅へと突き進むことになるが、ゲープハルト家の人々の運命はどうなるのであろうか。覚悟して第三部を待ちたい。
2020/05/01
ぐみべあ
どんな風にしてドイツがナチに染まっていったのかが、恐怖感を持ってわかる一冊。自分の兄弟が、友人がまさかナチの支持者になるとは、、という驚きと絶望を主人公と一緒に感じながら、その中でも諦めない不屈の精神で立ち向かっていく。ナチスを支持しないと酷い弾圧を受けるので、この時代に屈さずにいることがどれだけ難しかったかがよくわかる
2020/10/24
遠い日
15歳のハンスの視点で描かれるヒトラーが政権を握った直後の日々。ナチの台頭だ。世の中ががらりと変わる。権力が横行する。社会民主党と共産党の見通しの甘さと動きのなさにはハンスたちでなくともがっかりだ。姉マルタとの関係はさらに悪化し、ヘレとユッタは拘束され、家族はばらばらに。モスクワ行きを強く両親から勧められるが、ミーツェと別れられない。ついに失業し、生活のあてはない現状だ。「壁を背にして」、もう何処へも行けないのだ。1945へ急ごう。
2022/04/07
まこ
いつのまにか熱狂的支持で政権取ってるヒトラーと、ヒトラーを支持していないハンスの周囲。この差は何?。様子を見ることしか出来なかったハンス達は取り返しのつかないことに。ハンスには何度も逃げることを提案されたがそれを跳ね除けている、父や兄の影響もあるけど、自分の信じる考えを貫くことを決めた。ヘレの子どもの頃と比べたら強くなっている。弟のムルケルが、マルタと違ってナチス寄りの知識を知っているのが爆弾なんだけど。
2022/06/08
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