日本近代思想大系 15
日本近代思想大系 15 / 感想・レビュー
とんこつ
加藤周一『明治初期の翻訳――何故・何を・如何に訳したか』を読了。明治初期における西洋智の翻訳運動はどのように行われたのか。そこには中国からの漢字の輸入、江戸時代の蘭学の輸入のそれぞれの経験が元になっていること、そして西洋と日本がともに「歴史的な社会」であったことが大きいと加藤は指摘する。西周などを例に具体的な翻訳実践の状況についても言及されるが、明治期の徹底した翻訳主義とは違い、カタカナ語が反映する今日の状況を思うと、日本語そのものがひどく損なわれていること、日本と東洋の距離が遠くなっていることを感じた。
2018/06/26
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