柳田国男と折口信夫 (同時代ライブラリー 202)
柳田国男と折口信夫 (同時代ライブラリー 202) / 感想・レビュー
うえ
「谷川 柳田国男のお弟子の方々とずいぶん仕事をしましたが、あの人たちに欠けているのは、この神への問いなのです」「池田 柳田国男の学問は、その意味では弟子に疑問を持たせない学問なのですよ。柳田という人は、ちゃんと決めてしまう人なんです。たとえば、「昔話研究」では、「関さんここまでおやりよ」と。それで先生は次へ移っちゃうんです」「池田 僕と加藤は、会えば先生のことを話しているんで、どこからが僕の説か、どこからが加藤の説かよく分けられないんですが、折口信夫の里子問題は、加藤の説で決定的だと思います」
2017/12/07
nekonekoaki
とりあえず知っています、柳田国男と折口信夫の名前は。こんな私にとってよき入門の書となりました。二人の素顔がほんの少しだけ垣間見ることができます。1994年10月17日第1刷発行(1990年12月 思索社より刊行)。
2021/09/19
大臣ぐサン
柳田国男と折口信夫という民俗学における二人の巨人をその弟子が語る。柳田批判が強い印象を受けるが、この本が書かれたのは柳田国男が亡くなって十数年の1980年。今考えると、ようやく民俗学者たちが自己批判し、柳田国男の呪縛から逃れようという自我が芽生え始めた頃に当たるのだろう。それから40年近くが立ち、柳田学、折口学に囚われない新たな民俗学が芽吹いている。これからの民俗学はどんな表情を見せてくれるのか。柳田折口両先生も楽しみにしておられるだろう。
2019/07/08
てれまこし
近代日本思想史上でも稀有な二つの個性。師弟でもありライバルでもあった二人の間の関係は、それ自体一つの思想史のエピソードとして興味深い。民俗学というくくりにおいては大きな目標を共有していたということが本書を読むとわかるが、より大きな思想史上の文脈ではどうだろうか。総帥然とした柳田に比べると、折口の人間的魅力が勝るような気もするし、民俗学の対象である農村が分解してしまった以上、今後は折口古代学へ関心が集まりそうだが、民俗学という学問を普遍的な人間科学に位置づけようとしたのは、やはり柳田であったと思う。
2017/10/13
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