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武道伝来記 (岩波文庫 黄 204-7)

武道伝来記 (岩波文庫 黄 204-7)

武道伝来記 (岩波文庫 黄 204-7)

作家
井原西鶴
横山 重
前田 金五郎
出版社
岩波書店
発売日
1967-04-16
ISBN
9784003020470
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武道伝来記 (岩波文庫 黄 204-7) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

西鶴の武家ものの初作。いずれも敵討ちを主題とした、32の掌編から成る。また、題材を広く全国各地から取っているので「諸国噺」的な要素も見られる。町人である西鶴が武士道の理想を描こうとした時、敵討ちにこそその本義を求めたのだろう。彼らはあくまでも「義」のためにそれを遂行するのだが、それが西鶴によって書き留められた時、たとえ「是武士の本意、かくあらまほしき事なり」と賞賛されようとも、そこに虚しさは付きまとう。また、ここでのもう一つの大義は衆道だ。文字通り、念友のためなら命も投げ出す覚悟が常に求められているのだ。

2014/06/24

syaori

副題は「諸国敵討」で、全国各地の仇討ち話が語られます。町人の西鶴が武家物を書いた理由は「最大の武家都市である江戸の読者を目当てに」ということのようですが、しかし本書の仇討ちは、その発端が不慮の喧嘩や揶揄、理由も分からぬ主命だったり、何年も諸国を巡って仇を討っても「代かはりて」先代が認めた仇討ちが認められず処刑されたりと、義理や忠心、覚悟といった武士道の美というよりは、その虚しさや理不尽を感じずにはいられません。遠い江戸の武士の心情と「武士の義理程、是非なき物はなし」という武士道の不条理な面を楽しみました。

2023/04/27

うえ

「③椿井民部が、江戸の浅草寺町近くの借座敷の門前で、仇討が行われた時、塀越に、声援だけして、助太刀はしなかったとある…④化物の正体は、火燵の櫓の中にもぐっていて、櫓を持ち歩いた犬であったという…夜咄の際に、雪隠の中にひそんでいた「やせたる白犬」を化物と勘違いして、おっとり刀の武士が雪隠の戸口に立って、「何者成るぞ正体あらはし候へ」と、高声にののしったところが、件の白犬が「よろよろ出でていにける」とある。そこで「諸人興さめて言ふべき言の葉もなかりけるこそ、さてさて笑止千万成りけると語られし」とある」

2018/12/06

champclair´69

全八編それぞれ四話ずつ、親兄弟や衆道相手の仇討ち譚で構成されている。例えば祭で見世物を見物していた武家の子が他家の゙中間に乱暴された報復だとか、主家の子どものおねだりにより木の枝を折ろうとした小者が、うっかり隣家の情事を見てしまい射殺された復讐だとか、殆どが相手に嘲弄された、無礼を受けたなどの些細なことが発端となっており、現代人の感覚からすると動機が度し難い。しかし武士の本義がこのようなものならば、実に恐ろしい世界である。

2024/09/30

牛歩

ある意味BLネタの宝庫かも。

2009/07/20

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