西鶴文反古 (岩波文庫 黄 204-9)
西鶴文反古 (岩波文庫 黄 204-9) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
巻1と巻5が4話、巻2,3,4はそれぞれ3話という、やや奇妙な構成。そもそも本書が出版されたのは元禄9(1696)年と、西鶴の没後3年も経ってからのこと。西鶴の真作かは異論もあるところだ。内容的には、町人ものの系譜をひくものが多いが、中には好色ものや男色ものも。文体も一応西鶴らしくはあるものの、饒舌体は鳴りを潜めている。もっとも、これは書簡体を採用したことゆえか。凝縮度は西鶴随一かも知れない。「ポルトガル文」に遅れることわずか30年。世界文学の中でも、実に特筆すべき位置を占めている。
2018/04/30
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