女殺油地獄,出世景清 (岩波文庫 黄 211-3)
女殺油地獄,出世景清 (岩波文庫 黄 211-3) / 感想・レビュー
luka
近松門左衛門の浄瑠璃二作を収めている。読み進めるのがとても大変だった。古文体だったのと、各章冒頭における情景描写が文化の相違も手伝って非常に難解だった。油地獄は放蕩息子が起こす殺害事件を滑稽に描いている。殺す側、殺される側両方に家族がいて、生活があることを描き、話に厚みがあった。出世景清は徳川の治世において平家の人間を主人公にするというかなり挑戦的な内容の悲恋もの。40p程の短い作品だが、非常に見せ場が多い作品だった。景清の妻が源氏側の拷問に耐える姿は一途で心を打たれた。100年前の作品とは思えなかった。
2016/06/24
rouningyou
全編行間悪い予感に満ちていて血の結末に向かって一気に滑り降りる。足元はすでに血でぬめっている。逃げる場所はない。観客はすでに結末を知っている。そこに呪文のような韻律でぐいぐい引きずりこんでいく。意味がわからぬところが多く元禄期との距離を実感したが読み応えがあった。出世景清は未読
2013/05/08
絶間之助
結構、読み通すのに時間が掛かりました。女殺油地獄は、歌舞伎で仁左衛門、染五郎を見ていますが、文楽の与兵衛はもっと虚無感漂うアウトローですね。歌舞伎では甘えん坊ですが、文楽ではきっと立ち直ることが無いような。文楽の最後のシーンは歌舞伎ではあまり掛かりませんが、ここで与兵衛の性根が分かると思いました。景清は凄まじい。特に牢を抜け出すところの迫力、最後の大団円までの波乱万丈な展開には驚きました。読みにくい文章ながら、目が離せなくなりました。ああ面白かった!
2014/08/28
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