アンデルセン 即興詩人(上) (岩波文庫)
アンデルセン 即興詩人(上) (岩波文庫) / 感想・レビュー
壱萬参仟縁
現代人にとっては読みづらい文体は否めない。悔い恨める罪人の拳もて我額を撃ちつつ、地獄の底深く沈み行くあり(173頁)。車夫は顧みて、一たび市民の半を山のあなたに徒(うつ)し、その跡へは餘所(よそ)より移住せしめしことあり、されどそれさへ 雑草の叢(くさむら)に穀物の種を蒔きしに似て、何の利益(りやく)(もあらで止みぬ、兎角は貧の上の事にて、貧人の根絶やし 出来ねば、無駄なるべしと、諭し顔に物語ぬ(226頁)。長いが気になった箇所。
2015/04/18
モリータ
◆アンデルセン(1805-1875)作、1835年発表。主人公はローマ生まれ、運命のいたずらにより各地を遍歴するが、これは著者がイタリアを旅行した経験が下敷きになっている。◆鷗外は1892~1901年にドイツ語訳から重訳し『しがらみ草紙』などに発表、初刊は1902年。岩波文庫版は1928年初版、1969年改版(縮刷版を底本とし校訂された1954年の岩波版鷗外全集の本文による)。◆当時から現代まで、ロマンティックな物語と雅な文語訳に惹かれ、本書を携えてイタリア詣をする人も多いと。森まゆみ著も読んでみたい。
2022/02/21
dolce-vita
昔挫折したので安野さんの口語訳と併読中。日本語なのに訳が必要なのは情けないけど。鴎外の格調高い文章を味わいつつ、時々音読してみる。美しくて気持ちいい。きみが姿を仰ぎみて、君がみ聲を聞くときは、おほそら高くあま翔り、わたつみふかくかづきいり、かぎりある身のかぎりなき、うき世にあそぶここちして、うた人なりしいにしへのダヌテがふみをかながらに、おとにうつしてこよひこそ、聞くとは思へ、うため(歌女)の君に。気持ちわかるぅ。システィーナ礼拝堂でミケランジェロを眺めながらアレグリのミゼレーレを聴く。場景にもうっとり。
2016/12/24
空飛び猫
太陽の国イタリア。 数奇な運命をたどる少年。
2012/07/31
dolce-vita
一度めは内容をなぞることで精一杯だったので、今度は美しい文体を味わう。
2017/03/05
感想・レビューをもっと見る