努力論 (岩波文庫 緑 12-3)
努力論 (岩波文庫 緑 12-3) / 感想・レビュー
Kawai Hideki
読了することそれ自体に猛烈な努力を要する努力の書(読破に7ヶ月かかった)。面白かったポイントは2つ。「幸福の使い方にも色々ある。福を惜しむこと(惜福)、福を分けること(分福)、将来のために福を植えて殖すこと(植福)」「何かを成し遂げようと思ったら1つの事に集中しろ」1つの教訓に対して、古今東西の具体例が微に入り細に入りずらずらずらずら、対句をなして出てくる。読後感を喩えるなら「飲み会でめちゃくちゃ博学なおじさんにからまれて、3次会、4次会と帰らせてもらえず、延々と朝まで人生と努力について説教された」感じ。
2014/12/26
esop
間接の努力は準備の努力で、基礎となり源泉となるものである/努力を忘れて努力する、それが真の好いものである/人の上となりて衆を率いるものは必ず分福の工夫において徹底するところあるものでなければならぬ/病が吾人を啓発することは決して少なくない/気の張りは「おのずからに努力を生ずる」/直ちに進んで自ら運命を造るのみである/終に澄む気を保つに至れば、拙くてと偏っても、その人だけの本来を空しくせぬところに到達する
2024/04/25
yomineko
物凄く難しい感じの羅列に、昔の人の賢さを改めて感じました。余りにも難しすぎて読むのに時間がかかってしまいましたが、読んでいるのは私だけかな?と思っていたら500人以上の方々が読まれていて感服しました。何事も「正、大、精、深」。露伴先生、流石です。
2020/08/27
イプシロン
「幸福論」と題される欧米の書物は多い。そうした著作と比較するなら、本書は幸福になるためにどう努力すべきかが語られる「努力論」である。しかしそれは皮相的なHow toではなく、全編の半数を割いて語られる「気」論である。かつ、そこから導き出されるのは、努力せんとしていることを忘れて、なせることをしていれば自然に幸福になるという、風変わりな努力論である。つまり本書の目玉は古代インド思想にある、身と心を繋いでいる気息(プラーナ)の調和に努力すれば、無理な努力や頑張りすぎなど一切必要ないという哲学である。
2019/09/16
i-miya
2010.05.30 2001.07.改訂。 (岩波文庫努力論跋)心のとり方次第。苦を転じて、楽となす。勇健の意気をもって懊悩、焦燥の態度を払拭するを薦めたもの。30余年。再録。そのまま。S14年歳末記入、露伴学人識。(解説・中野孝次) 東洋からの幸福論、西洋に向けて発する。ヒルティ、ラッセル、アラン、三谷隆正の西洋幸福論。よき師を見つけよ。分福のすすめ。植福。行持=道元『正法眼蔵』、自分が学ぼうとして発心し。修行して悟りに達することを行持という。
2010/06/02
感想・レビューをもっと見る