墨汁一滴 (岩波文庫 緑 13-4)
墨汁一滴 (岩波文庫 緑 13-4) / 感想・レビュー
Gotoran
先に読んだ『漱石俳句集』、『漱石・子規往復書簡集』経由で本作品へ。子規が亡くなる前年、1901年(明治34年)の1月から7月に164回に亘って新聞「日本」に連載された随筆集。俳句のこと、短歌のことなど、時に鋭い論調で述べられているか感じつつも、まだ元気だった頃の思い出が述べられていたり、縦横無尽に、病さえ客観視するなど、子規の驚くべき胆力を窺い知ることができる。また、巻末の解説(粟津則雄)も秀逸だった。
2023/05/07
みつ
子規の死の前年、新聞『日本』に連載されたものとのこと。毎回の長さも極端に違い、紙面校正に追われる係はさぞかし大変だったろうと余計な心配もしてしまう。「自分が湯に入ることができぬようになつてからもう五年になる。」(3月7日。p51)という不自由な身で、漢字の正誤、江戸の万葉調歌人、春夏秋冬の規定、大学時代の回想、洋行する中村不折、等々興味の赴くまま、筆は自在に及ぶ。爆発的な作歌(名作もいくつか)を成した日は「我はただ歌のやすやすと口に乗りくるがうれしくて。」(4月30日。p107)と弾む心がそのまま伝わる。
2023/11/05
Shoji
子規が晩期に病床に臥しながら残した随筆。さすがに俳句、短歌に多くの紙幅が費やされています。しかし、中には世論を斬るキラリと光るコンテンツも。鋭い感性と慧眼に脱帽。病床であるがゆえか、さすがにベースボールは出てこなかった。天上でサムライジャパンの活躍をどう見ているであろうか。
2023/03/28
ジャズクラ本
○明治34年、新聞「日本」に164回にわたって連載された随筆で、これは子規の死の前年。床から這って出ることも敵わず、後半は起き上がることも難しかったようだ。苦痛は本文中5月11日の次の日記にもみてとれる。「試に我枕もとに若干の毒薬を置け。而して余が之を飲むか飲まぬかを見よ。」 肉体的には勿論のこと精神的な葛藤も垣間見られる。今日は5月5日。謀らずも柏餅の句が何句か掲載されていたので僕の好みの調子で詠まれた一句を記載しておきます。「ことほぎて贈る5日のかしわもち 食ふもくはずも君がまにまに」
2020/05/05
そうたそ
★★★☆☆ 俳句について論じている箇所など難しいと思えるところもある一方で、くだけた部分もあり。「病牀六尺」や「仰臥漫録」に比べると、自分の中では幾分印象が薄い内容ではあった。
2020/03/03
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