伽羅枕 (岩波文庫 緑 14-6)
伽羅枕 (岩波文庫 緑 14-6) / 感想・レビュー
マカール
主人公の佐太夫が、吉原を舞台に女傑さながら男をあしらう一代記。伽羅枕は長編というよりも、個々の小話をつなぎ合わせた短編集だ。というのも、紅葉はある老女の実話を基にしてこの小説を書いたからである。それ故にそれぞれの話の関係性は薄いけれど、とても実話とは思えぬほど物語としての迫力を持ち、人情を帯び、魅力に満ちた小説になっている。文章も軽快で、個人的に紅葉の作では『金色夜叉』に次ぐ傑作ではないかと思う。ただ欠点は中身が濃すぎるせいで、中々読み終わらないことだ。読了した時には、主人公の幼年時代が文字通り昔のよう。
2013/02/21
Helmenov
江戸遊女の粋と侠。文体が醸し出している。
2008/10/31
ともも
明治23年読売新聞の連載小説。京は祇園に生まれ、流れついた吉原で佐太夫となる「お花」の物語。道中「左右には番新佐山春日野おのおの姿を粧りて」番新は番頭新造のことか。佐山春日野って相撲みたいね。後ろは「魂魄脱殻(たましひぬけがら)の士農工商ぞろぞろ」あはは。
2019/07/11
感想・レビューをもっと見る