破戒 (岩波文庫 緑 23-2)
破戒 (岩波文庫 緑 23-2) / 感想・レビュー
川越読書旅団
自身の出自を隠す事で、教育者として世間からの少なからぬ評価を受ける現実。その胸に去来する罪悪感、薄氷を踏む思い、社会に対する憎悪、そして焦燥、自然主義文学を象徴する見事なまでの情景描写を通じ、藤村自身の文学人としての思いを赤裸々に伝える近代文学作品の金字塔。
2021/06/20
カブトムシ
書きおろしで、明治39年3月自費出版。未解放部落出身の青年教師瀬川丑松は、生まれを「隠せ」という父の戒めを守って生きてきた。しかし、先輩の思想家猪子蓮太郎の孤独な戦いを知り、老朽教師の風間敬之進の娘お志保の薄幸な身の上にも心を痛める。社会の不合理と不正を糾弾し、テロに倒れた蓮太郎の死を見て、告白を決意をする。生徒の前で秘密を打ち明けた丑松は、テキサスに新天地を求めて旅立つ。出発の日、生徒たちに交じって見送るお志保は、いつか丑松の妻となるべきひとだった。市川雷蔵主演の映画があった。猪子を三國連太郎が演じた。
カブトムシ
私は文学史を勉強してます。恥ずかしながら島崎藤村の「破戒」は、活字で読んでません。本は所有しています。映画の「破戒」は、2度ほど見た記憶があります。市川雷蔵主演の映画でした。「千曲川のスケッチ」や「夜明け前」もダイジェストの朗読テープを聴いています。映画だけ見た作品も多いです。谷崎潤一郎の「卍」や「鍵」などです。活字と映画の両方を見て、思い出深いのは、「細雪」です。太宰治の原作の映画は、活字も読み映画も見ています。人気がないと、映画にはなりません。太宰の作品は、今でも活字で読まれ続けているのは、凄いです。
シュラフ
「丑松も今が一番危え時だ~なかなか他人の中へ突出されて、内面を見透かされねえように遂行げるのは容易じゃねえ~下手に学問なぞをして、つまらねえ思想を起こさなければいいが・・・」(丑松の父の言葉)穢多・非人問題を扱った社会小説であるが、丑松と仲間らの青春小説の読み方もできるし、(出番はないのだが)丑松と父親の親子小説といった読み方もできると思う。『隠せ』という言葉は、ただ息子の幸せを願っての戒め。穢多であるが故の他人に言えぬ苦労をした父親が、社会に出たばかりの息子のことを心配する心情がよく伝わってくる。
2022/03/26
若布酒まちゃひこ/びんた
自然主義文学というか、いかんせんこの類の小説はむかしから苦手で、歳をとれば読めるようになるだろうとおもっていたけれど、まだぼくにとって興味深く読めるものではなかった。
2016/02/21
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