或る女 後編 (岩波文庫 緑 36-2)
或る女 後編 (岩波文庫 緑 36-2) / 感想・レビュー
図書館小僧
鬢の後れ毛をかきなでるだけで男を夢中にさせるファム・ファタールが主人公なんだけど、彼女の人生にも胸の裡の打算にも全然興味が持てなくて正直前半はなかなか読み進められなかった。彼女の身体と精神にほころびが出始めた後半からの緊迫感がすごくて、最後は一気に読んでしまった。
2021/12/20
今野琢
明治末〜大正時代に活躍した白樺派の作家、有島武郎の代表作といわれる長編小説の後半部。1911年から1913年にかけて「白樺」に「或る女のグリンプス」の題で連載された前半に新たに後半を書き下ろし、「或る女」と改題。国木田独歩の最初の妻、佐々城信子をモデルに、旧弊な社会に反発し、自らの情念に忠実に生きようとした気丈で才知溢れる女性の運命を描く。アメリカから帰国した草月葉子は、「1人の男に執着する」という感情を初めて知り、徐々に嫉妬心にとらわれていく。そして、ついには心身を病んでしまう。
2023/11/14
あや
どうしてか後編から読んでしまい、目当てだったものがなかったけれども。葉子の独白がころころ変わり、何が本当の事なのかがわかりにくい。倉地に対する憎しみと愛情の入り交じった表現はとても好きだった。
2018/09/17
あすか
青空文庫にて読了
2015/10/24
issy
後編の後半あたりからは陰惨で狂気じみた心理描写がいつ果てるともなく続き、読んでるこっちも疲れてきた。救いの光明をちらつかせつつも死の破滅を強く匂わせる、暗く澱んだ何とも落としどころのない終わり方には悪い意味で裏切られた。主人公の生き様と悩み苦しみ、語られなかった未来をより理解するには、時代背景や著者の当時おかれた状況など外部環境を踏まえる必要があるのかもしれない。
2011/01/31
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