草の葉: ホイットマン詩集 (岩波文庫 緑 36-9)
草の葉: ホイットマン詩集 (岩波文庫 緑 36-9) / 感想・レビュー
やいっち
有島武郎による選訳書。旧字体。日頃愛唱してやまないと自序でも書いている。巻末には年譜が載っているが、それを読むのも興味深い。さらに本書には有島によるホイットマン論でもある小文が載っている。彼の思い入れの深さと、ホイットマン理解の深さが感じられる。ホイットマンのアメリカに限らず英米の詩の歴史の枠組みからも食み出す世界。詩の形式をも次第に破ってまでも自然に向き合おうとする、孤立を恐れぬ姿勢。この小伝にはホイットマンの恋愛、女性に対する姿勢も語られている。やがて有島の「或る女」などへも繋がっていくのだろうか。
2021/10/02
双海(ふたみ)
新しき村の住民にも愛されたホイットマン。「女、坐つた女、歩きまはる女―――或るものは老い、或るものは若い。若いのは美しい―――然し老いたのは若いのよりも更らに美しい。」(「美女」p207)
2015/09/03
風に吹かれて
トマス・ハーディの『ダーバヴィル家のテス』を読んでいたら「いつもの見慣れた衣裳をまとった男女の群れよ、/いまおまえたちが、私の眼にげになんともの珍しくうつることよ!」(井出弘之[訳])と読み終えたばかりの『草の葉』に収められている「ブルックリン渡船場をわたって」の引用に遭遇した。そういうことは、なんだか嬉しい。⇒
2021/07/21
冬見
有島武郎の評論集を読むに当たって積んでいた訳詩集をば。これまで、詩とは音楽性に命があると思っていたが、本書を読み必ずしもそうではないことを思い出した。中盤あたりからかなり良かった。以下印象に残った詩の感想メモ。「日の入りに私が聞く時に」恋だなあと思う。「私はルイジアナで一本の槲の木の育つのを見た」自然に対峙する。槲の生き方、私の生き方。「見も知らぬ人に」朔太郎のさびしい人格やプラトンの魂のかたわれのことを思い出す。「大統領リンカーン追悼歌」死に際して鮮やかに世界が焼き付く。自然描写が鮮やかで美しい。
2022/02/09
シンドバッド
有島武郎の訳が良い
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