寺田寅彦随筆集 1 (岩波文庫 緑 37-1)
寺田寅彦随筆集 1 (岩波文庫 緑 37-1) / 感想・レビュー
やいっち
「柿の種」は何度となく読んだ。寺田寅彦随筆集でも2度ほど: http://atky.cocolog-nifty.com/bushou/2011/03/post-eebf.html
Arisaku_0225
図書館本。一流の物理学者であり、随筆や絵画も嗜む文化人としての顔も持つ寺田寅彦の随筆集である。彼に一貫して言えることは物事の過程や原因をしっかりと考えようとする姿勢にある。「そこまで考えるか?」といった有り触れた日常の一コマ一コマを捉え、このように言語化できることは自分には出来ないなぁと感じた。「科学と芸術とは根本において1つ」という考えに読んでみると納得させられた。 面白かった題は、「科学者と芸術家」「物理学と感覚」「丸善と三越」「自画像」「芝刈り」「案内者」「断水の日」。
2023/01/18
ソングライン
若くして亡くなった妻と忘れ形見の息子に共通するどんぐりへの偏愛が悲しい「どんぐり」から始まり、ヨーロッパへの船旅、ドイツ留学からの師へ宛てた書簡、そして再婚した家庭生活が語られる随筆集です。療養中に始める油絵、写生旅行、丸善の店内探索、あのゲッチンゲンでの降誕祭などが印象に残ります。理知的な考察と共存する芸術家としての思念、目に浮かんでくる大正の平穏、楽しめる随筆集です。
2021/10/25
swshght
数学者や物理学者のエッセイは面白い。たとえば湯川秀樹や岡潔がそうだ。寺田寅彦はその先駆ではないだろうか。彼は物理学者だが、随筆も精力的に執筆した。本書には約20編のエッセイが収められている。もっとも古いものは1905年(明治38年)にまで遡る。寺田はオールマイティだ。科学的思考に加え、文学的教養と芸術的感性まで持ち合わせている。彼のエッセイではその三つが鮮やかに交錯する。寺田は持ち前の観察力を生かしながら、日常の風景をこと細かに綴り、読者をユーモラスで知的な世界へ導く。自然に対する温かい眼差しも感動的だ。
2013/11/07
Shin
月並みだけど「珠玉の」という形容詞がぴったりくる上質な随筆集。科学者としての透徹した観察眼と、芸術(愛好)家としての温かみあるまなざしと、なによりも知性に溢れた人間としての森羅万象に対する愛情の豊かさに感動する。無論遠く及ばないとしても、ああ自分はこういう態度で生きて行きたいのだ、と涙ぐみたくなるような文章の数々。素直に、宝物だと思える本。二巻以降も買おうと思うけど、実は青空文庫でも読めるので、本を忘れた外出時にiPhoneで読めるということに気付き、何ともいえない幸せな気分になった。
2011/09/15
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