すみだ川―他三篇 (岩波文庫 緑 41-1)
すみだ川―他三篇 (岩波文庫 緑 41-1) / 感想・レビュー
mahiro
この短編集は明治時代の東京の下町の描写が好きだ。細々とした家並みや川筋に住む人々、吉原や他の遊郭の退廃の中で芸妓と遊客のやりとり、道楽で身を持ち崩した男が売り払う直前の廃園同然の邸の風情などが目に浮かぶようだ。学生時代に青春の欲求のまま自邸の下女に手をつけた男達の再会の会話の身勝手さに腹も立つが踏みつけにされた女達もそんな事には潰されずしたたかに生きていく庶民の強さを見せてくれる。
2017/03/27
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