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おかめ笹 改版 (岩波文庫 緑 41-9)

おかめ笹 改版 (岩波文庫 緑 41-9)

おかめ笹 改版 (岩波文庫 緑 41-9)

作家
永井荷風
出版社
岩波書店
発売日
2002-07-09
ISBN
9784003104194
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おかめ笹 改版 (岩波文庫 緑 41-9) / 感想・レビュー

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HANA

荷風というと「いき」と「すい」を極めたような江戸情緒の香りがする小説ばかり。と勝手に決め込んでいたが、本書を読むとそれは荷風の一面で、極めて多彩な面を持つことがわかる。兎に角出てくる人間出てくる人間、俗物ならざる者はいないと言った勢い。人に取り入るのは上手い画家を始めとして、権威主義的なその師匠と女と金の事ばかりのその息子、算盤を弾くのに夢中の芸者と情緒の欠片も無い人間ばかりである。そんな彼らが織りなすドタバタ喜劇であるが、何か風情に溢れた小説よりも生き生きとしているような…。やはり荷風は奥深いなあ。

2023/05/01

たつや

おそらく自分にとっては初永井荷風だと思いなす。はしがきが気に入りました。待合とはなんだろう?とか時代の問題ですが引っ掛かる箇所多数ありましたが、これが有名な荷風先生かと気持ちよく読めました。本編はストーリーどうこうではなく、雰囲気を味わう作家さんの印象です。

2016/11/24

SIGERU

情緒纏綿とした花柳界の世相人情を、彫琢された名文で綴る。荷風文学の華である。だが本書では、エミール・ゾラに私淑した作者の、まったく別の側面が窺える。人間性の愚劣を抉る、自然主義的な文学態度がそれだ。主人公に浅学菲才の画工を据えて、三流どころの待合芸者を配し、その他の人物たちも、すべて矮小卑劣。当時の古美術界の腐敗ぶりに筆誅を加えた暴露小説であり、情緒の欠片もない滑稽小説だ。荷風自身の表現を借りれば「当代人の心理を描写し、作者平常の鬱気を散じた」とのこと。俗物社会への鬱積を吐露した、作者会心の作。

2022/04/05

Aya Murakami

自分は中学の時、体育会系男子数人にいじめられたことがあるので、作中のゲス男の一人(名前の漢字が検索に出てこない…)が勉強嫌いの体育会ということに共感しました。 牛鍋、活動写真(調べてみたら映画のことでした)、メリヤスのシャツと西洋風の単語が並び文明開化に邁進する明治の様子がうかがえました。

2018/01/28

ykshzk(虎猫図案房)

画家としては名を成さないが、人の間で立ち回ることで食い繋ぐ主人公。酒と女を取ったら何も残らないのではというボンボン。それぞれの妻たち。とりまく芸者たち。肩書きにかかわらず全員結構なダメ人間なのだが、人間は皆おのおの役割を生きているんだなと感じさせられる。画家・政治家・芸者、が登場人物とのことで大きなドラマのあるストーリーを期待してしまったが、そこは荷風先生、起きる事柄に関してはフラットに描き、もっぱらの視点はそこに絡む男女のやりとり。今の時代では受け入れ難い女性観もあるけれど、時代が時代、よしとしよう。

2022/06/07

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