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すみだ川・新橋夜話 他一篇 (岩波文庫 緑 42-2)

すみだ川・新橋夜話 他一篇 (岩波文庫 緑 42-2)

すみだ川・新橋夜話 他一篇 (岩波文庫 緑 42-2)

作家
永井荷風
竹盛天雄
出版社
岩波書店
発売日
1987-09-16
ISBN
9784003104224
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すみだ川・新橋夜話 他一篇 (岩波文庫 緑 42-2) / 感想・レビュー

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Willie the Wildcat

『新橋夜話』からはまず「色男」の京さん。菊松の掌で遊ばれているのに気づいても、”スジ”を通した京さん。最後の最後で色男となった感。次に「風邪ごこち」は、1人増吉を待つ進さんが耳にする”生活音”が印象的。下駄、人力車、羅宇屋、歯入屋、鍋焼うどんや煎りたて豆屋、支那饅頭など、風情と人情。最後に「松葉巴」。義理と人情で身動き取れず捌け口の哥沢節。小玉の引き際と勇の心の傷を思う。『すみだ川』の長吉・お糸の純粋さに自分の過去を重ね、失った心を取り戻す蘿月。お豊の御籤、何気に風情。なお、随所に出る『梅暦』が気になる。

2020/04/09

ビイーン

冒頭、明治時代の夏の風情から引き込れてしまった。「夏の黄昏も家々で焚く蚊遣の烟と共に〜」とてもいい雰囲気。ちなみに私は真夏になれば冷房をガンガンに効かせて生活する。技術の発展により便利さを手に入れたのだが、風情を感じる心を失ってしまったのかもしれない。しばらく経ってから再読したいと思う。

2021/10/12

Aya Murakami

図書館で借りてきた本。 すみだ川は3人の人物の視点で物語が動いていく作品でした。情熱というか本能というか美しいものを求める男性と社会的地位というか安定性というべきものを求める女性(なんだか母親的で自分の母親に似ている気がする)の生き方のすれ違いがリアルで悲しい。

2018/06/20

カブトムシ

常磐津の師匠お豊は一人息子の長吉を大学に入れて月給取りにしたいと願っている。長吉は幼馴染のお糸が芸者家に行く前に、今戸橋で会ってみたものの、必ずしも彼(長吉)の気持ちは彼女(お糸)に通じていない。その中、長吉は学校を怠け、お糸のいる葭町(よしちょう)あたりをさまよったりしている。学年末、彼はとうとう落第する。お豊の兄俳諧師羅月(らげつ)は妹のお豊に頼まれて柄にもなく意見をした。羅月は留守番をしていて、長吉が秘めていたお糸の写真と手紙の断片(長吉の)を発見、甥の気持ちに同情し二人を添わせてやろうと決意する。

Galilei

はて?主人公の長吉、18ともなれば近くに吉原があり、母の弟子の姐さん方も大勢なのに、命懸けの恋で未練の塊。母の躾のせいなのか、色恋の免疫が皆無。往々にして男は引きずり、女はさばさば。早くも18と16の歳からと、32歳の荷風先生にはお見通しだったか、それとも自身の思い出だったのか。▽括りは、長吉の恋慕をぜひ叶えてやろうと、堅く決心した叔父の粋人蘿月は、先生の理想像なのだろう。死ぬまで色町を棲家として玄人をこよなく愛し、また可愛がられた先生。妻女には縁が薄く最期は孤独だったと聞く。才人の放蕩もまた嬉し。

2020/03/14

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