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あめりか物語 (岩波文庫 緑 42-6)

あめりか物語 (岩波文庫 緑 42-6)

あめりか物語 (岩波文庫 緑 42-6)

作家
永井荷風
出版社
岩波書店
発売日
2002-11-15
ISBN
9784003104262
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あめりか物語 (岩波文庫 緑 42-6) / 感想・レビュー

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ykmmr (^_^)

耽美派、永井の代表作2作目。フランスより、先に滞在したアメリカでのお話。ニューヨーク・ワシントンなどのイメージをそのままに、美しく記録し、その場所を彩る自然の姿をまた、見事な観察力と文章力で描いている。それに準じるように、アメリカ人ならぬアメリカ人を永井風史観で描き、こちらは堕落感や悲壮感もあり、生々しい姿。その共存が読者の持つイメージに反映される。

2023/02/17

Kajitt22

アメリカにおいてさえ、余は都会の夜の燈火と雑踏を愛す、と断言する若き永井荷風。当地の女性の会話もちゃきちゃきの江戸っ子弁で書かれ、紐育のダウンタウンは当時の浅草や玉ノ井のように感じさせる。異国での出来事を翻案して書かれたようなこの作品は、明治の人々を魅了したに違いない。この少し前に夏目漱石は、倫敦での息が詰まるような留学生活を文章にしていてそれはそれで興味深いが、この荷風の異国でののびやかな文章はまさに好対照だ。数十年ぶり再読。

2017/12/29

Tadashi_N

憧れの対象ではない、アメリカの都会の様子。物見遊山的に感じた。

2018/03/07

新田新一

実際にアメリカに行った経験を基にして書かれた永井荷風の短編集。端正で格調高い文章に惹きつけられました。物語としても面白くて、読みだしたら止まらなくなります。1話の「船室夜話」で描かれる船の旅の描写に、当時の人々の苦労が偲ばれます。「夜あるき」のような当時の米国の暗黒面を怯まず描くところは、フランスの作家ゾラに学んだ永井荷風の強靭な精神を感じました。最後の「六月の夜の夢」は美しく切ない悲恋の物語で、荷風の青春の記といった趣。この作品が一番の好みです。

2024/07/26

みつ

20世紀初頭のアメリカでいわゆる高等遊民の生活を送る若き荷風の身辺雑記。読み始めてしばらくは日本人の知人たちの物語が戯作めいて面白いものではない(助詞の「を」をいちいち「をば」とするのも気に障る。)。荷風自らの文明批評の眼が冴え出すのは後半から。「自由の国に生まれた人」を羨み、恋人たちと家族の団欒を家父長のもとの寒々とした日本家庭と対比し(p254〜6。知人が日本酒と日本飯を嫌いになった理由を語る『一月一日』もその反映)、「美術の制作を土木事業と同一視している日本政府」(p267)とこきおろす。(続く)

2021/12/17

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