赤光 改版 (岩波文庫 緑 44-1)
赤光 改版 (岩波文庫 緑 44-1) / 感想・レビュー
壱萬参仟縁
ひたすら歌から成る。「山深く ひた入り見むと 露じもに 染みし紅葉の そこに水たぎち見ゆ」(30頁)。これからの季節。今は台風の風雨だが、身が引き締まる感じの歌だなぁ。「赤光(しゃっこう)の なかに浮びて 棺(かん)ひとつ 行き遥(はる)けかり野は 涯(はて)ならん」(80頁)。人生の儚さ。「うづ高く 積みし書物に 塵たまり 見の悲しもよ たどき知らねば」(99頁)。積読か。というか、書棚の本も結構ほっとくと埃たまるな。「諏訪のうみに 遠白く立つ流波 つばらつばらに 見んと思へや」(134頁、初版)。湖。
2013/10/15
fishdeleuze
岩波文庫版の表紙に「強烈な人間感情の表出は一般文芸界にも衝撃を与えた」とあるが,初読時,どちらかと言えば理知的であり,これが衝撃的な人間感情の表出なのだろうか?と訝った。しばらくおいて再度読み直しているとそうではなく,歌という型のその奥に激烈な感情が血液のように流れているのかと思うようになった。言葉によって型からスパっと溢れ出る鮮やかな血液のような激しい,生の感情。歌という型があることにより作者の激しい感情がより際立っている。歌というものを読み始めて日が浅いため,またしばらくしたら感じ方が変わるのだろう。
2012/10/29
浦和みかん
第三版赤光と初版赤光が収録されている。私は初版を読んだ。万葉調のリズムは心地良い。取材の点では、こんな些末なことまで歌にするのかと驚かされた。
2016/09/07
ゆきろー
久々によんだがやはり「死にたまふ母」の疾走感というか連作の凄まじさは圧倒的。
2015/06/27
蝉海
どの教科書にも必ずその名が載っているであろう、斎藤茂吉の処女歌集。私は文学の中でも短歌とは特に縁遠く、滅多に歌集など紐解かないのであるが、とある事情で「赤光」という言葉が気にかかり、手にとってみた。……うん。物語が前面に出た形式など、評価された箇所を確認できたのはよかったけれど、やっぱり今の私には短歌の心得はないということが分かった。「死にたまふ母」など小学生の頃に目を通した歌もあり、少し懐かしくなった。
2013/09/01
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