釈迦 (岩波文庫)
釈迦 (岩波文庫) / 感想・レビュー
ショア
巻末解説より。武者小路実篤が初めて執筆した作品は釈迦を描いた「わしも知らない」だったそう。釈迦をできるだけ人間として描きたい、釈迦に親しめる本を書きたい。そのような想いから本作ができたよう。手塚治虫のブッダを読み返してみようと思う。
2023/08/09
旗本多忙
今の時代は末法であり、釈迦の教えも守れず、実践もなされず濁世の仏教と言っても過言ではない。今の我々に必要な物は、ハッキリ言って金があって裕福な暮らしなんだよね。釈迦の真理に基づく考え方は確かに頷けるが、現実には真似出来ず不可能だよね。仏教については腐るほど言いたいことあるけど、釈迦伝を初めて読んだという人には、細かな理解は難しいと思う。実篤は平易に書いたとあるけど、それは小説の書き方であって、釈迦の言動や行動的な描写はもっと細かく書いてもいいなと僕は思った。総合的には良書でしょう。
2018/09/02
双海(ふたみ)
武者さんの描く仏陀に心が震えた。自分のここ最近の行いを顧みて、深く恥じた。まごころが、足りない。そう思った。泣きたくなった。
2017/05/28
ykshzk(虎猫図案房)
これは読みやすい。釈迦の誕生から涅槃に入るまでが淡々と描かれる。難解な表現はなく、時に面白い。家も妻子も捨て夥しい数の人たちを出家に導く姿。人間の永遠の宿命「老病死」への畏れの気持ちはもちろん、それ以外に、生まれついた自分の階級とどう向き合うかという、当時ならではの苦労も、多くの人を出家に向かわせる力になったのだろうと思う。様々な法が説かれているが、老女は母として、年の近い女性は妹として、若い女性は子どもとして、それぞれ見ることが女性への欲求をやり過ごす方法だ、なんて、人間味溢れる説法もあり興味深かった。
2018/12/20
くくの
人としての釈迦伝。その姿は情けないが、やる時はやる強さがあった。 釈迦の行動は、弟子に対してはブラック上司のようであり、それに加えて匂わせ体質もあり、忖度までさせる。妻が出家しようとしたら逃げだすし、嫌な奴とは会わないように立ち回る。若いときは弟子に対して厳しく対し、老齢になったら丸くなった代わりに、よく説教をする。本当に普通の人として、ツッコミどころ満載の釈迦の姿だった。 教義についは、念仏も極楽浄土も方便で、その真の目的は老病死の避けられない苦しみから解き放たれるためのものだと思った。
2020/03/07
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