春琴抄・盲目物語 (岩波文庫 緑 55-2)
春琴抄・盲目物語 (岩波文庫 緑 55-2) / 感想・レビュー
吉野ヶ里
初谷崎。良い作家だと思います。丁寧で、遊びがある文章を書くなと。『盲目物語』なんでかわからないけど、意外と知ってること多くてびっくりした。なんだかんだ私も日本人なのですな。語り手もたぶん市のこと好きだったんだろうね。解説にもあったが、盲目の語り手ってすごいと思います。あと語り手と歴史との距離の取り方が絶妙。火をつけたのはやり過ぎだったかも知れないけど、概ね調整されてたと思う。
2016/07/17
ラウリスタ~
またもや久々の日本文学。「盲目物語」は舞台が戦国時代で、ちょっと面食らうが、意外にも読みにくくはない。で、「春琴抄」、お師匠さんである、年下のお嬢さんに一生涯仕える変則的な愛の物語。読点を打つべきところで打たずに、だらーと書き続ける独特の文章が印象的。語り口こそ擬古ってるが、実は西洋の最新の文学潮流を明らかに受容したうえでの創作なのだろう。関西が舞台になっているので、静謐な地の文にまざる、ローカリティー溢れる台詞が利いている。
2012/08/04
ハル牧
目が見えないからこそ、見える世界がある。佐助の行動と、春琴の数分間の沈黙、今後何度でも読み返すことになるであろう。
2021/06/10
ちゅん
美しい日本語に魅了される作品です。春琴のために共に盲目になる佐助に一途さを感じます。
2019/01/14
のんき
静かに語られる声に聞き入っているような気分になってくる「盲目物語」、極彩色の曼荼羅が眼前に展開してくるような「春琴抄」。目で文字を追っている事を忘れてしまいそうな二篇でした。
2009/09/15
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