恋愛名歌集 (岩波文庫 緑62-4)
恋愛名歌集 (岩波文庫 緑62-4) / 感想・レビュー
こうすけ
萩原朔太郎が案内する、万葉集~新古今和歌集における名恋愛歌集。こんな歌を褒めてる歌壇はダメだ、とか、この歌人は技法ばかりで過大評価されてる、とか、辛らつな案内ぶりがとにかく良い。和歌といえば、古文に出てくるわかりづらい難問のやつ、ぐらいの印象しかない自分には、音から考える歌の世界観の解説などとてもわかりやすかった。月を題材に、一年間の恋心の移り変わりをわずか三十一文字で表現する深さに感激。朔太郎絶賛の和泉式部、式子内親王が気になる。1000年以上前の歌の心情が今も理解できるって、よく考えると不思議。
2023/12/15
内藤銀ねず
昭和六年(1931)に朔太郎が世に問うた問題作。軍国主義に向かう時代に、万葉集や八大集のしかも恋歌を精選するなんて。また口語自由詩のパイオニアが日本古来の定型詩を称揚するなんて。この本はこれまであまり重版されてなかったのですが、いろいろ中身に問題があって、朔太郎自身が名歌を改作しちゃってたりします(解説の渡部泰明さんは「言語道断」と怒っています)。ですが、朔太郎が見つけるまで名歌とはされていなかった歌があったり、読んでて心地よい酩酊を覚えます。もっと書きたいことたくさんあるのですが、それは別の機会に。
2022/07/01
双海(ふたみ)
萩原朔太郎(1886-1942)は、日本語の詩の精髄は、古典和歌にこそ宿ると論じた。さらに、抒情詩中の抒情詩は、恋愛歌とした。詩人は、『万葉集』『古今和歌集』から『新古今和歌集』までの歌集から、抒情、韻律に優れた歌を選び、評釈を付ける。近代詩の巨人による和歌の詞華集。「さ丹づらふ」いい言葉おぼえた。
2023/04/30
ソニックゆうすけ
著者は万葉集こそ、最高の歌集と述べ、山部赤人の風景描写、大伴旅人の虚無感、柿本人麻呂の天才ぶりを語る。実際に旅などをして外の世界を知っていた事が大きかったようで、古今和歌集などは、貴族は屋敷の外に出ていなくて、想像もその域を出ていないとのこと。紀貫之、藤原定家はあくまで選者で歌は形式だけしか良くない、と。新古今和歌集では、式子内親王、和泉式部、西行などを褒めている。著者の歌に関しての感受性が溢れ出ている本。
2022/11/27
石ころ
朔太郎氏が古今和歌集に喧嘩売ってらっしゃっる…。
2023/12/17
感想・レビューをもっと見る