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侏儒の言葉 (岩波文庫 緑 70-4)

侏儒の言葉 (岩波文庫 緑 70-4)

侏儒の言葉 (岩波文庫 緑 70-4)

作家
芥川龍之介
出版社
岩波書店
発売日
1968-10-16
ISBN
9784003107041
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侏儒の言葉 (岩波文庫 緑 70-4) / 感想・レビュー

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かふ

芥川晩年の箴言集。佐藤卓己『流言のメディア史』を読んでいて芥川の「輿論」の「輿論は常に死刑であり、死刑は常に娯楽である」という言葉が気になって読んでみた。芥川の「輿論」は「世論」というか「輿論」の「世論」化。今のSNSに通じる言葉だ。「こうした『輿論の世論化』の担い手こそが『善良なる市民』に他ならない」(佐藤卓己『流言のメディア史』)。「善良なる市民」は関東大震災で朝鮮人を虐殺した日本人。芥川も自警団に加わったとか。後で菊池寛に流言だとたしなめられた。ヒステリー状態の世論。

2019/06/10

藤月はな(灯れ松明の火)

賭博や嘘、醜聞などの常識への嘲笑、処女性や好人物などの讃えられているものへの突き放した冷徹さ、文学の見方、親子の皮肉、文章への批評など、ひねくれ者の芥川龍之介氏の言葉が的を得ていて素敵です。多分、生き辛さを抱えている人は共感しやすいのではないでしょうか?弁明めいた言葉もあるので真面目故の可笑しみも感じます。そして文学研究会の先輩が「侏儒には『小人』とも読むが『阿呆』という意味もある」と仰っていたのに頷きました。確かに「侏儒」という言葉が使われなかったら「ある阿呆の一生」と題名が被りますね。

2011/09/30

tokko

いや〜、どの言葉もビシビシと心を打つ。こんな言葉をさらりと言えたらいいのだけれど、芥川が言うから深みがあるのだろうな。「理性のわたしに教えたものは畢竟理性の無力だった。」なんて僕が言っても、「何か悪いものでも食うたん?」と返ってくるのがオチだろう(笑)まあ、そうならないように年を重ねなさいということなんだろうけど…。よくよく考えてみたら僕も芥川が亡くなった年齢にまで達したんだなぁ。

2013/08/20

還暦院erk

蔵書(実は昔の版で、油紙の表紙が経年劣化でぽろぽろ取れてきて困った)。大昔、高校教科書で本作を知って一時期ハマったよなぁなんて懐かしく読み始めたが、語彙が難解で読了に苦労した。若い時分は難語を無かったことにしてスルーしてたのか自分…正にバカの壁()…それはともかく、抜き書きしたくなる箴言多数。そしてモテ男かつ斜に構えたミソジニーだった芥川さんの一面も垣間見れた…個人的には、女性を見下す文学者って苦手。自死では奥さんに多大な迷惑かけたと思うよ。

2019/08/04

K2

まず、言葉が難しい。ただ、さすが芥川龍之介だという言葉の使い方や文章の美しさ、内容の質の高さはまねができない。「批評学」など、逆説的なものの鋭さや、当時の政治家、軍人などにたいする皮肉は痛烈だ。でも、現在でなくて、その時代に接したら、そして、それを理解できる自分であったらよかったなと思った。

2015/04/23

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