或日の大石内蔵之助,枯野抄 他12篇 (岩波文庫 緑 70-9)
或日の大石内蔵之助,枯野抄 他12篇 (岩波文庫 緑 70-9) / 感想・レビュー
Willie the Wildcat
日欧著名人も題材とした多彩な作品群。多少強引だが、落語分類で作品を振り返ってみると・・・。滑稽噺が『世之助の話』で、音曲噺が『舞踏会』。芝居噺は『或日の大石蔵之介』かな。怪談噺には『開化の殺人』、そして悩ましい人情噺からは『戯作三昧』。時勢の変化への苦悩が蔵之介と馬琴の共通項も、周囲の支えの有無が対照的な結末が印象的。ピエル・ロティの描写も、時代を象徴している気がする。是非ではなく、先を見据えて踏み出す一歩という感。
2017/10/12
しーふぉ
枯野抄が読みたくて借りて来たが、戯作三昧、鼠小僧次郎吉が面白かった。鼠小僧次郎吉は落語っぽい。
2014/11/03
ホームズ
王朝物に比べると全体的には地味な印象かな。『或日の大石内蔵之助』『俊覚』『開化の殺人』『開化の良人』などが好きでした(笑)『将軍』も良かった(笑)乃木将軍を題材にして色々字が伏せられたり時代を感じるな~。芥川龍之介の短編は結構数があるんですね。まだ短編集が1冊あるからそちらも楽しみだ(笑)
2012/06/14
歩月るな
九〇年辺りの初版で幾つか良い感じにピックアップしてまとめられている芥川の岩波文庫シリーズにあたるのだろうが、短編一四編どれも素晴らしい。僕自身は芥川はあまり読んでいない積りだし、面白いとかも抜きにして正直好きな作家では無い事を隠さずに言っているけれども、気付けばこれだけ読まされてしまっている。それでも芥川好きとは中々言われない、何だか難しい感じがする。解説が簡潔で実に的確な所をあくまで淡々と説明してくれるのも有り難い。最後の最後で内容を整理できる名解説だと思われる。小気味良い話が幾つか有るのが楽しめる所。
2015/11/18
清少納言
静けさの雨音の中の猫の描写が明媚(「お富の貞操」)。大正時代、官能的表現は制限されていたが、戦前の将軍を、モノマニアと表現していることに、衝撃が走る。実在した人物の小説は、入りやすく面白い。芥川流逆説は痛快、流石江戸っ子下町っ子である。この一冊で、読みたい本が、一気に増えた。
2014/07/06
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